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バイデン米大統領、日鉄のUSスチール買収阻止を発表

ロイター / 2025年1月4日 0時9分

バイデン米大統領は3日、日本製鉄によるUSスチール買収を阻止することを決めたと明らかにした。日鉄本社で4月撮影。(2025 ロイター/Issei Kato/File Photo)

[ワシントン/東京 3日 ロイター] - バイデン米大統領は3日、日本製鉄によるUSスチール買収を阻止することを決めたと発表した。米国の安全保障を損なう恐れがあるとした。米大統領選を挟んで約1年攻防が続いた買収計画は、不成立で終わる可能性が濃厚となった。

バイデン大統領は声明で「国内で所有、運営される強力な鉄鋼産業は国家安全保障の優先事項であり、強じんな供給網にとって欠かすことができない」と説明。「国内に鉄鋼の生産能力を保有し、そこで働く労働者がいなければ、米国は弱く不安定化する」とした。

同買収を審査してきた対米外国投資委員会(CFIUS)は昨年末、国家安全保障上のリスクについて省庁間で意見がまとまらず、大統領に判断を委ねていた。米紙ワシントン・ポストによると、CFIUSは買収を認めれば米国内の鉄鋼生産が減少し、「国家安全保障上のリスクがある」とホワイトハウスに伝えたという。

日鉄は2023年12月にUSスチールを141億ドル(約2兆円)で買収すると発表。世界で最も鉄の消費が多い米国市場で成長を模索する計画だった。業績低迷が続くUSスチールは、日鉄の買収が実現しなければ資金が不足し、主要工場の生産を止める可能性があると訴えてきた。

しかし、買収の発表直後に全米鉄鋼労働組合(USW)が雇用や安保上の懸念を理由に反対を表明。CFIUSが審査を進める中、バイデン大統領やトランプ次期大統領も反対の姿勢を示していた。

日鉄は買収後も人員削減や工場の閉鎖はしないこと、海外から米国に鉄を輸入せずにUSスチールの国内生産を優先すること、米国内に投資をして生産を近代化し、中国勢に対抗することなどを主張し続けていた。

最終局面の昨年12月31日には、USスチールの生産能力を削減する場合に米政府が拒否権を持つことも提案した。

<日米関係にどう影響>

日米は緊密な同盟関係にあり、前出と別の関係者2人によると、石破茂首相は昨年11月にバイデン大統領へ書簡を送り、買収計画を承認するよう求めていた。米国が安全保障上の懸念を理由に日本企業による買収を阻止すれば、両国関係や日本企業の対米投資に影響が出るとの指摘が出ていた。

日本の鉄鋼産業を所管する武藤容治経済産業相はバイデン氏の発表を受け、「国家安全保障上の懸念を理由として、このような判断がなされたことは理解しがたく、残念」とするコメントを出した。バイデン政権に審査プロセスなどの説明も求めた。

ロイターを含めた複数のメディアは2日、バイデン大統領による買収阻止決定を事前に報じていた。日本の政府関係者は「生産量を削減しないという約束を含め、日鉄はあらゆる安全保障上のリスクを取り除いてきた。日鉄がUSスチールを買収することのリスクというものが何か、理解しがたい」と語っていた。

日鉄は買収が承認されなかった場合、法的措置を取る可能性を示唆してきたが、専門家はハードルが高いと指摘する。法律事務所アレン・アンド・オーヴェリーのパートナー、ニック・ウォール氏は「誰を訴えるのか。CFIUSなのか、大統領なのか、それとも政府全体なのか。ほぼ不可能だと思う」と話す。

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