米失業保険申請の改善続く、コロナ禍で初の40万件割れ 需給要因逆風も
ロイター / 2021年6月4日 1時24分
米労働省が3日に発表した5月29日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は38万5000件と、前週の40万5000件から改善し、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)発生以降で初めて40万件を下回った。ケンタッキー州の職業センターの前に並ぶ人々。4月撮影(2021年 ロイター/Amira Karaoud)
[ワシントン 3日 ロイター] - 米労働省が3日に発表した5月29日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は38万5000件と、前週の40万5000件から改善し、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)発生以降で初めて40万件を下回った。労働力不足で雇用が制限されている中でも労働市場が堅調であることが示された。市場予想は39万件だった。
こうした中、米民間雇用調査会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが同日発表した米企業による5月の人員削減数は2万4586人と、前月比7%増加したものの、前年同月比では93.8%減少。年初からの人員削減総数は19万2185人で前年同期比86%減少した。
また、5月のADP全米雇用報告も、民間部門雇用者数が97万8000人増と、市場予想の65万人増を上回り、昨年6月以来の大幅な伸びを記録した。
ハイ・フリークエンシー・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、ルビーラ・ファルーキ氏は「経済の再開が継続しており、雇用の伸びを後押しする見通し。ただ、需要と供給の不均衡が労働市場に摩擦をもたらしており、短期的には逆風になり得る」と述べた。
失業保険申請件数の改善は5週連続。テキサス州やフロリダ州で減少が目立った。申請件数は昨年4月上旬に記録した過去最悪の614万9000件からは大幅に改善しているが、健全な労働市場の目安となる20万─25万件にはまだ至っていない。
初回給付以降も継続して失業保険を受け取った人は、5月22日までの1週間で16万9000人増加し377万1000人。何らかの失業給付を受けている人は5月15日までの1週間で約1540万人に達する。
オックスフォード・エコノミクスの主任エコノミスト、ナンシー・バンデンフーテン氏は「パンデミックで失われた雇用の完全回復がより不均一な道のりであることを改めて認識した」と述べた。
一千万人近い人が公式に失業しているにもかかわらず、労働者が不足している理由としては、政府による手厚い失業手当や育児問題、公衆衛生上の根強い不安、コロナ禍に伴う退職などが挙げられる。このうち、政府の失業手当に関連して、全米50州の半数に当たる25州が週300ドルの失業給付上乗せ措置を9月の期限前に打ち切ると発表しており、失業保険申請のさらなる改善につながる可能性もある。
ただ、FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は、失業給付上乗せ措置の終了が雇用拡大につながるかは分からないと指摘。失業手当の給付額減少を受けて即座に就職し新たな給与が得られなければ、経済成長の鈍化につながると警告した。
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