ＥＵ規則下で登場したｉＰｈｏｎｅ初のポルノアプリ、アップルが懸念

　米アップルは３日、欧州連合（ＥＵ）の新規則導入に伴ってＥＵ域内のｉＰｈｏｎｅで新たにポルノアプリが利用可能になったことについて、ＥＵのデジタル政策がアップルに対する消費者の信頼を損ねていると批判した。写真はブリュッセルで２０２２年１１月撮影（２０２５年　ロイター／Yves Herman）

Stephen Nellis

[３日　ロイター] - 米アップルは３日、欧州連合（ＥＵ）の新規則導入に伴ってＥＵ域内のｉＰｈｏｎｅで新たにポルノアプリが利用可能になったことについて、ＥＵのデジタル政策がアップルに対する消費者の信頼を損ねていると批判した。

アップルは２００８年にｉＰｈｏｎｅ向けのアプリ市場「アップストア」を開設して以来、ダウンロードできるアプリを管理しており、２０１０年には当時のスティーブ・ジョブス最高経営責任者（ＣＥＯ）がポルノをｉＰｈｏｎｅから排除することはアップルの「道義的責任」であり、同社が「門番」としての役割を果たす主な動機の一つだと述べていた。

しかしＥＵで２０２２年にデジタル市場法（ＤＭＡ）が成立するとアップルはアップストア以外の代替アプリストアを認めることが義務付けられ、「門番」としての立場が変化。代替アプリストアの一つである「ＡｌｔＳｔｏｒｅ（オルトストア）」が「Ｈｏｔ　Ｔｕｂ（ホット・タブ）」と呼ばれるポルノアプリの配信を開始した。

アップルは、「この種のポルノアプリがＥＵユーザー、特に子どもたちに及ぼす安全上のリスクを深く憂慮する。こうしたアプリはわが社のエコシステムに対する消費者の信頼と信用を損なう」との声明を出した。

オルトストアは、アップルを独占禁止法違反で提訴した人気ゲーム「フォートナイト」を開発するエピックゲームズから支援を受けていると説明。エピックゲームからの資金はアップルが代替アプリストアに請求する手数料の支払いに充てるとしている。

アップルは代替アプリストア承認課程の一環として既知のマルウエアなどサイバーセキュリティ―上の脅威をチェックするなど基本的な審査を行っているが、アプリのコンテンツ承認は対象外となっている。

オルトストアは、ホット・タブはアップルによって認証を受けたと主張。Ｘへの投稿で「世界初のアップル公認ポルノアプリ」と表明し、アップルの怒りを買った。

アップルは「オルトストアによる虚偽の声明と異なり、アップルはこのアプリを承認しておらず、アップストアで提供することは決してない。われわれが欧州委員会によって配布を義務付けられているというのが実態だ」と反論した。