米経済活動、大半の地区で若干拡大 物価上昇ペースは控えめ=地区連銀報告
ロイター / 2024年12月5日 7時30分
米連邦準備理事会(FRB)は4日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、経済活動はほとんどの地区で若干拡大したという認識を示した。2012年4月撮影(2024年 ロイター/Joshua Roberts)
[4日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は4日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、経済活動はほとんどの地区で若干拡大したという認識を示した。
物価上昇は控えめなペースにとどまったいう。雇用の伸びは「抑制的」で、物価上昇は緩やかなペースにとどまり、企業は楽観的な見通しを示したと言及した。
10月初旬から11月22日までに12地区連銀の調査先から得た情報に基づき、報告では「経済活動の伸びはおおむね小幅だったものの、ほとんどの地域や部門で成長への期待は緩やかに高まった」とし、「企業は向こう数カ月、需要が増えるとの期待感を示した」と言及した。
大半の地区で成長は小幅だったが、3地区は「緩やかまたは穏やか」、2地区は「横ばいまたはやや減少」を報告した。
今回の報告書を作成したカンザスシティー地区連銀は「最近人員を追加したと報告した企業はほとんどなく、ほぼ全ての企業が離職率は異例の低さと報告したことから、採用活動は抑制されている」とし、全体の雇用もおおむね同様の状況が示された。
また、大半の地区は従業員の賃金の伸びが穏やかとし、今後も同様のペースが続く見込みと報告した。
インフレは全般的に穏やかと報告されたが、幾つかの地区の企業はトランプ次期政権が新たな関税を課すとの見通しから、今後の物価上振れリスクに言及。フィラデルフィア地区連銀は「相当数の企業が関税によって物価が上昇するとの懸念を示した。全企業の今年第4・四半期のインフレ期待トリム平均値は3.3%で、第3・四半期の3.0%から上昇した」と報告した。
ベージュブックは、9月と11月の利下げにより現在4.50─4.75%としている政策金利の引き下げペースに関する判断材料となる。
今年最後の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合は12月17-18日に開かれる。金融市場では、0.25%ポイントの利下げが決定されると見込まれている。
ただ、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア個人消費支出(PCE)価格指数の前年同月比は今年5月以来、2.6─2.8%の範囲にとどまり、FRB目標の2%を上回っている。それでも、FRB当局者の多くは、短期金利の水準を踏まえてインフレ率は鈍化するとみている。
労働市場は引き続き堅調ながら徐々に冷え込みつつあり、FRB当局者は政策金利について、3.5%は超えないとの想定が多い中立金利の水準から大幅に長期間高い状態で据え置くことに慎重論がある。
6日に発表される11月の雇用統計では、10月にハリケーンや米航空機大手ボーイングのストライキの影響を受けた賃金の伸びが回復するとエコノミストはみている。ただ、失業率は4.2%と、4.1%から上昇するとみられている。
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