米単位労働コスト、第4四半期は0.9%上昇に下方改定
ロイター / 2020年3月6日 2時5分
米労働省が5日発表した2019年第4・四半期の非農業部門の労働生産性(改定値)は、生産単位当たりの報酬を示す単位労働コストが年率0.9%上昇と、速報値の1.4%上昇から大幅に下方改定された。ミシガン州ロムラスで昨年8月撮影(2020年 ロイター/REBECCA COOK)
[ワシントン 5日 ロイター] - 米労働省が5日発表した2019年第4・四半期の非農業部門の労働生産性(改定値)は、生産単位当たりの報酬を示す単位労働コストが年率0.9%上昇と、速報値の1.4%上昇から大幅に下方改定された。労働市場が逼迫する中でも物価上昇圧力は弱い状態が続くことを示唆した。
第3・四半期の単位労働コストは当初発表の2.5%上昇から0.2%上昇へ下方改定された。
第4・四半期の前年同期比は1.7%上昇と、速報値の2.4%上昇から下方改定された。
19年全体では前年比1.7%上昇。18年は1.8%上昇していた。物価上昇率が米連邦準備理事会(FRB)の目標である2%を下回り続けることを示唆する。
FRBは3日、新型コロナウイルスの感染拡大の経済へのリスクを指摘し、政策金利の誘導目標を0.5%ポイント引き下げ1.00─1.25%とした。08年の金融危機以来の緊急利下げだった。
労働1時間当たりの付加価値額を示す労働生産性は1.2%上昇と、速報値の1.4%上昇から下方改定された。市場予想は1.4%上昇だった。第3・四半期は0.3%低下していた。
第4・四半期の前年同期比は改定なしの1.8%上昇。19年は前年比1.9%上昇と、10年以来の大幅な伸びだった。速報値は1.7%上昇だった。18年は1.4%上昇していた。
低い生産性は、経済成長率がトランプ政権の目標である3%に届かない一因だ。19年の国内総生産(GDP)は2.3%増と、3年ぶりの弱い伸びだった。18年は2.9%増加していた。
生産性は07─19年の平均が年率1.4%上昇と、1947―2019年の長期的な平均である2.1%上昇を下回っている。物価上昇を引き起こさずに長期間持続可能な成長のペースが鈍化したことを示す。
エコノミストは潜在成長率を約1.8%増としている。一部のエコノミストは、軟調な生産性の要因として労働力不足のほか、一部の地域で薬物中毒がまん延したことを指摘する。また、設備投資が軟調であることから労働力に対する資本の比率が大幅に低下し生産性を抑制しているとの声もある。特に情報技術(IT)の分野などで、労働生産性の算出方法に歪みがあるとの見方も出ている。
第4・四半期の労働時間は前期比1.2%増。速報値は1.1%増だった。
ムーディーズ・アナリティクスのエコノミスト、ダンテ・デアントニオ氏は「単位労働コストの伸びが利益の伸びを上回っており、利益率が圧縮されている」とし、企業が採用や投資の決断により慎重になるだろうと指摘した。
*内容を追加しました。
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