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焦点:インド市場、「モディプレミアム」低下 総選挙振るわず

ロイター / 2024年6月5日 17時44分

インドの総選挙で与党の支持が伸び悩んだことでモディ首相(中央)のビジネス寄りの改革は減速するとみられ、海外のファンドマネジャーは同国への積極的な投資に二の足を踏んでいる。写真ニューデリーで4日撮影(2024年 ロイター/Adnan Abidi)

Karin Strohecker Caroline Valetkevitch

[ロンドン/ニューヨーク 5日 ロイター] - インドの総選挙で与党の支持が伸び悩んだことでモディ首相のビジネス寄りの改革は減速するとみられ、海外のファンドマネジャーは同国への積極的な投資に二の足を踏んでいる。

モディ氏が率いるインド人民党(BJP)は10年前に政権を奪取して以来初めて過半数を割り込んだ。同党は大きく落ち込んだ農村部での支持拡大を目指しており、価値と成長を引き出すと期待されていた土地・労働改革は頓挫する公算が大きいと投資家は予想している。

HSBCの調査によると、海外のファンドマネジャーは総じてインドの投資判断を「アンダーウエート」としており、不確実性は十分に警戒すべき理由となっている。

アムンディー・インベストメント・インスティテュートの新興市場マクロ戦略責任者アレッシア・ベラルディー氏は「政府はビジネス重視だった一方で、国内の他の地域は取り残されていると感じているようだ」と指摘。「従ってより包摂的で効率的な経済が重要になる」と述べた。

株式市場ではインフラ整備や製造業の支出による成長への期待で買われてきた銘柄が大きく下落する一方で、農村部の需要に敏感な銘柄が上昇した。

社会保障支出が増え財政健全化が遅れるとの懸念から債券価格は下落し、通貨ルピーは一時7週間ぶりの安値を付けた。

M&Gインベストメンツでインドとアジアの株式運用を担当するビカス・パーシャド氏は、インド市場は過去10年間政府の安定性により高く評価されてきたが、そうしたプレミアムの一部が失われたと指摘。「短期的には優先順位が少し変わるかもしれない」と述べ、地方の消費者や貧困層の利益に焦点が当てられるとの見方を示した。

<ディフェンシブ姿勢>

投資家はこれまでモディ政権下で利益を拡大してきた。2014年5月に同氏が首相に就任して以来、インドの主要株式指数は3倍以上になった。今回の選挙結果によりこの基調が変わる可能性は低く、ルピーはおおむね安定し、債券市場も大きく動揺することはないとみられている。

インベスコのチーフグローバル市場ストラテジスト、クリスティーナ・フーパー氏は「インドでは依然として力強い成長が見込まれている。これは買いのチャンスだ」と語った。

しかし全体的なエクスポージャーを増やそうという向きは少なく、市場関係者の多くは選挙結果を受けてポートフォリオを調整している。

7月に発表される来年度予算が政策に対するコミットメントの次の試金石になる見込みだ。

野村(シンガポール)のインド担当チーフエコノミスト、ソナル・バルマ氏は「予算で通常5年間の政策が示されるため、ゲームプランがどういうものかをより明確に把握できるはずだ」と述べた。

海外マネーは市場の動きに敏感で、資産運用会社は昨年、急落した中国市場の持ち高を減らしインド市場に振り向けたため、インドに資金が流入した。しかしこの動きは反転し始めている。

ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュート(ミズーリ州セントルイス)のグローバル市場戦略責任者ポール・クリストファー氏は、「インドへの投資を急ぐ必要はないと顧客に伝えている。インドはまだかなり混沌(こんとん)としている」と述べた。

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