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「前向きな企業行動」続けば、緩和度合いさらに調整=高田日銀委員

ロイター / 2024年9月5日 12時28分

 9月5日、日銀の高田創審議委員は、今後物価が見通しに沿って推移し、堅調な設備投資や賃上げ、価格転嫁の継続など前向きな企業行動の持続性が確認されれば、金融緩和度合いのさらなる調整を進めて「金利のある世界」にしていくことが必要との見解を示した。写真は都内で2021年8月撮影(2024 ロイター/Marko Djurica)

Takahiko Wada

[金沢市 5日 ロイター] - 日銀の高田創審議委員は5日、今後物価が見通しに沿って推移し、堅調な設備投資や賃上げ、価格転嫁の継続など前向きな企業行動の持続性が確認されれば、金融緩和度合いのさらなる調整を進めて「金利のある世界」にしていくことが必要との見解を示した。8月前半に金融市場の変動が生じた影響が残存するだけに、当面はその動向を注視し影響を見極める必要があるとも述べた。

日銀は同日、石川県金沢市で金融経済懇談会を開き、高田委員があいさつした。

高田委員は、株式・為替相場の大幅な変動があったものの「物価目標実現がなお展望できる状況」と指摘した。企業の賃金・価格設定行動に変化が生じ、企業収益の改善と物価上昇に対応した持続的な賃金上昇による好循環や、賃金や物価は上がらないものと考える規範(ノルム)がようやく転換する「変曲点」を迎えたとした。

足元の輸入物価上昇は2022年以降のような価格転嫁をもたらす「震度」ではないが、ノルムの転換で以前より価格転嫁が進みやすくなっており「(24年度)下期に向け、価格引き上げの波が再び生じる可能性を、8月前半の円高進行も踏まえつつ予断なく見極める必要がある」と述べた。

一方で、バブル経済崩壊後の30年余りを振り返り、日本経済はいくつかの「偽りの夜明け」(一時的な経済回復)を経験してきたと指摘。ようやく企業の前向きな行動の持続が期待できるようになったことで、今度こそ「真の夜明け」が本当に実現していくのかが焦点になるが、「過去を振り返っても海外発のショックが制約になったことが繰り返されてきただけに、海外経済や市場動向には十分留意する必要がある」とした。

米欧では利下げへの動きが出ているが、「これまでの利上げが急だっただけにその影響が時間を経て生じる場合、日本経済を下押しするリスクがある」と述べたのに加え、同時に、金融政策スタンスの違いから金融市場に変動が生じる可能性もあるため「当面は内外の動向を慎重に見守る必要がある」と指摘した。

<国債買い入れ減は「事実上の市中発行増」>

今後の政策金利の経路については、「自然利子率のピンポイントでの把握が困難」とした上で、「物価目標実現の時期に向けて一定の中立金利の水準を念頭に政策金利を引き上げていくわけではなく、十分な時間をかけつつ、その都度、政策金利引き上げの経済・物価・金融情勢への影響を検証しながら対応するというアプローチが現実的ではないか」と述べた。

8月28日に山梨県甲府市で講演と記者会見を行った氷見野良三副総裁と同様のスタンスを示した。

債券ストラテジストから日銀の審議委員に就任した高田氏は、国債買い入れ減額について事実上の市中への国債発行増と同じような効果をもたらすとし、「今回の減額により、歴史的な点からも有数の大量発行局面を迎えるとの見方もできる」と述べた。その上で「今後の国債保有構造の在り方を念頭に、中長期的観点から新たな市場構造が幅広く議論されることも必要だ」とした。

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