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アングル:米大統領選前夜、警戒続く日本株 「急落なら買い」銘柄探る動き

ロイター / 2024年11月5日 14時39分

 11月5日、米大統領選挙の結果が最後まで見極めにくい中、市場参加者は、投機筋の動きに神経をとがらせている。写真は5月30日と7月22日撮影(2024年 ロイター/Eduardo Munoz, Nathan Howard)

Noriyuki Hirata

[東京 5日 ロイター] - 米大統領選挙の結果が最後まで見極めにくい中、市場参加者は、投機筋の動きに神経をとがらせている。6日の日本時間に結果が判明して相場が急変動した場合、企業のファンダメンタルズ以上に売り込まれる銘柄が出てくることも想定され、市場の一部では全体相場の急落後にリバウンドが期待できそうな銘柄を探ろうとする動きもみられる。8月の急落とその後に自律反発した相場からヒントを得ようとしている。

今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)もあり、株式市場は年内最大級の山場を迎えている。国内の衆院選以降、米大手ハイテク決算といった波乱要因をこなしてきたが、もう一波乱に備えようとする動きがうかがわれる。

大統領選の結果判明後は、相場が急変動するリスクがあるが、過剰な反応は長期化するとはみられていない。「人気銘柄には足元で過熱感もみられるが、株価が全体相場につれて調整するようなら仕込みどころになるのではないか」と三木証券の北沢淳商品部投資情報グループ次長は話す。

相場急変時には先物主導の売買が強まる傾向があり、指数への寄与度の高い銘柄の値動きが大きくなりやすい。「その分、自律的な復元力にも期待できる」と、ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは指摘する。

米経済を巡っては、下方リスクもくすぶるが、ソフトランディング(軟着陸)期待は継続している。「イベント通過で不透明感が後退すれば、米国の利下げ期待もあって年末に向けた株高の思惑が高まるのではないか」と松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストはみている。

日経平均は8月の急落から約1カ月後の9月2日までに元の水準を概ね回復した。8月急落後の1カ月で日経平均が23%、TOPIXが22%リバウンドした一方、日経平均への寄与度の高い4銘柄のうち、ファーストリテイリングとアドバンテストが約28%、ソフトバンクグループが32%の上昇と、3銘柄が指数の復元力を上回った。

<優良銘柄の仕込みどころに>

8月の急落時には、全体相場の弱い地合いに巻き込まれた人気銘柄のリバウンド力の高さが目立った。当時は米景気の後退や日銀のタカ派傾斜への懸念が強かった。足元では米景気懸念が和らいでいるなど、外部環境が異なるため単純比較は難しいが「銘柄別の復元力を見極める上では参考になる」(ニッセイ基礎研の井出氏)という。

リバウンド力が最も高かったのは、生成AIの普及に伴う光通信や電力需要の高まりを見越して春先から人気化した電線御三家の一角のフジクラ。8月上旬の安値から9月までに株価は2倍になり、足元ではさらに上値を伸ばしている。

フジクラのPERは急落前に16倍台だったが、足元では約25倍に上昇。割高感は出てきているが「テーマ性があるため、適温相場の間は人気が続きそうだ」(三木証券の北沢氏)とみられている。住友電気工業のリバウンドも33%と高い。

IHI(58%上昇)や三菱重工業の(同46%)といった、防衛関連のリバウンド力も大きかった。政府が27年度までの5年間の防衛費約43兆円の方針を打ち出して以降、人気が高まっている。三菱重のPERは約30倍と割高にも見えるが「防衛予算の水準が変わる中で受注をとっていくとなれば、過去のPERとの比較で割高とは必ずしもいえない」と、内藤証券の田部井美彦投資調査部長はみている。

知財(IP)関連も有望と田部井氏は指摘する。キャラクターでは、サンリオが急落後に37%、アニメに力を入れるKADOKAWAが27%と大きめのリバウンドを示した。セガサミーホールディングス(同37%)、カプコン(同36%)といったゲーム分野の反発力も大きかった。とりわけアニメ分野の伸びしろがありそうだという。「ゲームソフトは海外売り上げが国内の4倍程度。現行は内外比率が半々のアニメも、同程度の比率に成長する余地があるのではないか」と田部井氏はみている。

主力事業の転換に成功した銘柄への人気も根強い。フイルムからヘルスケアへと軸足を移した富士フイルムホールディングスが43%、同様に総合電機からデジタル化(DX)企業に転換した日立製作所が33%の上昇と、株価の復元力の高さを示した。

東証33業種では、非鉄金属(34%)、保険(31%)、石油・石炭製品(29%)、海運(29%)、証券(27%)が、それぞれ急落後の上昇率の上位だった。

もっとも、イベント通過に伴って調整局面となる場合でも、その深さの見極めは容易ではない。ニッセイ基礎研の井出氏は「一度に多くの資金を傾けるのではなく、買い下がっていく手法が有効だろう」と話している。

(平田紀之 編集:橋本浩)

◎8月急落時の主要銘柄の動き

急落時 反発時 反発後

.N225 日経平均 -19.55% 23.02% -1.67%

.TOPX TOPIX -20.30% 21.95% -2.64%

5803.T フジクラ -27.75% 99.77% 22.99%

7013.T IHI -23.84% 58.22% 17.28%

4755.T 楽天グループ -24.75% 55.95% -12.74%

3697.T SHIFT -23.36% 55.86% 10.99%

2371.T カカクコム -22.07% 53.05% -6.48%

6417.T SANKYO -18.57% 51.99% -3.75%

7936.T アシックス -25.88% 51.73% -6.13%

6951.T 日本電子 -27.81% 50.82% -14.45%

3923.T ラクス -23.44% 50.75% -15.36%

5631.T 日本製鋼所 -29.72% 50.69% 12.60%

4483.T JMDC -7.29% 50.46% -8.37%

7011.T 三菱重工業 -28.25% 46.50% 9.88%

6845.T アズビル -24.41% 45.82% -2.42%

7550.T ゼンショーHLDG -13.35% 43.80% -1.26%

9024.T 西武HLDG -20.59% 43.67% 5.91%

6674.T ジーエスユアサコーポレーション -26.83% 43.55% -4.88%

4901.T 富士フイルムHLDG -22.93% 42.99% -9.91%

6504.T 富士電機 -26.82% 41.77% -6.02%

6920.T レーザーテック -27.79% 41.63% -28.52%

4704.T トレンドマイクロ -13.13% 41.18% -10.84%

6383.T ダイフク -27.84% 40.62% 3.09%

5991.T ニッパツ -27.03% 40.02% 6.34%

9435.T 光通信 -21.18% 39.78% -0.55%

7951.T ヤマハ -28.89% 38.67% 5.40%

3563.T FOOD & LIFE COM -23.33% 38.24% 7.35%

1911.T 住友林業 -32.36% 38.20% -5.78%

4091.T 日本酸素HD -26.34% 38.10% -5.08%

8630.T SOMPO HLDG -27.46% 37.85% -5.71%

6526.T ソシオネクスト -24.94% 37.85% -21.96%

6841.T 横河電機 -22.52% 37.58% -17.04%

8136.T サンリオ -16.01% 37.43% 8.62%

8766.T 東京海上HLDG -32.81% 37.17% -2.07%

3405.T クラレ -23.59% 36.99% 5.55%

3774.T インターネットイニシアティブ -15.19% 36.96% -3.17%

6460.T セガサミーHLDG -23.04% 36.93% 10.78%

7747.T 朝日インテック -19.47% 36.58% -7.10%

8591.T オリックス -26.24% 36.17% -12.07%

9697.T カプコン -26.42% 35.99% -5.15%

4681.T リゾートトラスト -18.38% 35.99% -2.15%

8439.T 東京センチュリー -21.87% 35.57% -9.65%

3994.T マネーフォワード -16.09% 35.53% -11.68%

6701.T 日本電気 -24.48% 35.33% -4.74%

4004.T レゾナック・HLDG -30.32% 35.19% -0.53%

7752.T リコー -19.31% 34.99% 6.67%

6723.T ルネサスエレクトロニクス -27.66% 34.77% -20.77%

6473.T ジェイテクト -23.04% 34.43% -6.83%

1963.T 日揮HLDG -23.15% 34.12% -1.09%

3132.T マクニカHLDG -27.24% 34.04% -12.98%

3382.T セブン&アイHLDG -11.13% 34.03% 0.14%

6988.T 日東電工 -30.13% 33.75% -0.73%

6501.T 日立製作所 -18.00% 33.64% 2.11%

7202.T いすゞ自動車 -19.61% 33.63% -13.37%

1801.T 大成建設 -22.65% 33.62% -4.98%

8830.T 住友不動産 -25.70% 33.36% -7.12%

7518.T ネットワンシステムズ -15.26% 33.26% 6.70%

6645.T オムロン -18.60% 33.21% -1.21%

5802.T 住友電気工業 -19.68% 33.06% -5.55%

*LSEGのデータに基づき、ロイター作成。対象はTOPIX500企業。「急落時」は7月31日終値から8月5日終値、「反発時」は8月5日終値から9月2日終値、「反発後」は9月2日終値から直近終値の変動率で、反発時の上昇率の大きさ順とした。

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