インタビュー:利上げは1月が最有力、市場動向と政治情勢が焦点=桜井元日銀委員
ロイター / 2024年11月5日 16時5分
11月5日、桜井真・元日銀審議委員は、ロイターのインタビューに応じ、日銀の追加利上げは来年1月が最有力との見方を示した。写真は2016年4月、都内の日銀で撮影(2024年 ロイター/Yuya Shino)
Takahiko Wada Leika Kihara
[東京 5日 ロイター] - 桜井真・元日銀審議委員は5日、ロイターのインタビューに応じ、日銀の追加利上げは来年1月が最有力との見方を示した。利上げ時期の見極めに当たっては、市場動向と国内の政治情勢が焦点になると話した。日本の成長率が1%程度、物価上昇率が2%程度で推移するとすれば政策金利の上限は2%程度との見方を示し、日銀は2025年度以降27年度にかけては年1―2回のペースで利上げを実施すると予想した。
桜井氏は日銀の追加利上げについて、12月、来年1月、3月と3回開かれる金融政策決定会合のどこかで実施される可能性が高いとした上で、最も可能性が高いのは来年1月だと述べた。
鍵を握るのは「マーケットと政治状況」だと指摘した。その上で、12月の決定会合は来年度予算案の閣議決定が迫るタイミングで開かれるため、利上げに対する石破政権の理解を得るのは難しいのではないかとの見方を示した。
米大統領選の為替市場への影響について、共和党候補のトランプ前大統領が当選した場合には円高、円安の「どちらもあり得る」と述べた。短期的には「強いアメリカ」を志向するトランプ氏の当選を受けてドル高・円安に振れやすい一方で、新政権の財務長官人事によっては円高に振れる可能性があるという。市場では、財務次官候補の1人と目されているライトハイザー前米通商代表部(USTR)代表が財務次官に就任すれば、ドル高是正策を打ち出す可能性があるとみられている。
ただ、桜井氏は長い目で見て円安基調が続くとみている。「日本のファンダメンタルズが長期的に落ちてきていることは間違いない」とし、1ドル=110―120円程度の円高水準には「そう簡単には戻らない」との見方を示した。
国際通貨基金(IMF)が10月に発表した世界経済見通しでは、24年の米国の成長率が2.8%に対して、日本は0.3%、25年は米国の成長率が2.2%なのに対して日本は1.1%となっている。
<政策金利、到達点は2%程度か>
桜井氏は、成長率が1%程度・物価上昇率が2%程度の状況が続けば、政策金利は「1.5%程度まではそれほど問題ないだろう」と指摘。2%を超えてくると政治からの反発が高まる可能性があり、2%程度が政策金利の上限になるとの見通しを示した。
その上で、政治情勢がなかなか安定しないことから、日銀の利上げは「年2回がやっとではないか」との見通しを示した。25年度入り後、0.25%ずつ年1―2回のペースで利上げしていけば、植田和男総裁が任期満了となる28年4月時点で政策金利は2%程度まで到達している計算になる。
<国債買い入れ、26年4月以降は金額据え置き見込む>
日銀は7月の決定会合で国債買い入れの減額計画を決めた。四半期ごとに4000億円ずつ減らし、26年1―3月には月間2兆9000億円程度の買い入れを行う計画で、25年6月の決定会合で減額計画の中間評価を行う。
桜井氏は、26年1―3月の2兆9000億円で減額は「打ち止めだと思う」と述べた。26年4月以降は減額を加速せず、月間2兆9000億円程度の買い入れが続くと予想した。自公両党と一部野党の「部分連合」が政治の基本的な体制になれば財政規律が緩みがちになる半面で、銀行の買い入れ余力の問題も浮上してくると指摘した。
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