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経済の回復状況に応じ、緩和度合い慎重に調節していくことが重要=中村日銀委員

ロイター / 2024年12月5日 12時23分

 12月5日、日銀の中村豊明審議委員は、広島県金融経済懇談会であいさつし、賃上げと投資がけん引する「成長型経済」への転換の芽が順調に育つように、多くのデータを確認し「経済の回復状況に応じて金融緩和度合いを慎重に調節していくことが重要な局面だ」と話した。写真は日銀本店。都内で3月撮影(2024 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Takahiko Wada

[広島市 5日 ロイター] - 日銀の中村豊明審議委員は5日、広島県金融経済懇談会であいさつし、賃上げと投資がけん引する「成長型経済」への転換の芽が順調に育つように、多くのデータを確認し「経済の回復状況に応じて金融緩和度合いを慎重に調節していくことが重要な局面だ」と話した。その上で、回復が遅れている中小企業の「稼ぐ力」の状況などを丁寧に確認していく方針を示した。

金融政策運営に当たっては、米国の金融政策や海外経済、為替の動向などは日本の経済・物価に影響を与えるため考慮する必要があるが「人口動態や産業構造の変化によって低収益化した経済の回復状況に応じて、中長期的な視点でわが国のファンダメンタルズの向上に資することが大変重要」と述べた。

2%の物価目標の持続的・安定的な達成のためには、「企業の『稼ぐ力』の向上による経済の成長軌道回帰への期待に自信が持てる経済構造への変革が必要だが、これには相応の時間がかかる」と指摘。大企業を中心に事業構造の改革や「稼ぐ力」の強化が奏功して、33年ぶりの高い賃上げ率や株価のバブル期超え、設備投資の100兆円超えなど、物価上昇に負けない賃上げと投資がけん引する「成長型経済」への転換の芽が生まれたものの、足元の実質国内総生産(GDP)は前期比増加と減少を行き来しており「まだ安定的な成長軌道に乗っているとは言えない」と述べた。

成長志向の大企業・中堅中小企業を中心に、緩やかながら経済は成長軌道に向かうと期待され「この場合、金融政策も徐々に調整されていく」と指摘。成長志向の事業展開に必要な経営リソースを強化するため、中小企業も「もう一回り大きくなる構造改革を急ぐ必要がある」と語った。

中村委員は、7月の利上げ決定時に反対票を投じるなど政策委員の中で最もハト派的なスタンスを取っている。

あいさつでは、日本の経済・物価の先行きに弱気な見通しを示した。「賃上げの持続性にまだ自信を持てていない」と述べたほか、個人消費の節約志向の強まりや設備投資計画が先送りされる可能性、中国をはじめとする海外経済の下振れに伴う競争の激化などを踏まえ、10月の展望リポート時点での自身の経済見通しは「政策委員見通しの中央値より低い伸び率を想定している」とした。消費者物価(除く生鮮食品)前年比も「私自身は、2025年度以降は2%に届かない可能性があると考えている」という。

米国経済については、ソフトランディング期待が高まっているとする一方で「今後の景気展開や政策運営などを受けて、インフレが再燃するリスクにも注意が必要」と指摘した。

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