米、EUの報復関税「正当な根拠ない」 補助金巡りWTOに主張
ロイター / 2020年5月7日 8時27分
5月6日、米国は、世界貿易機関(WTO)への提出文書で、米航空機大手ボーイングに対するワシントン州の優遇税制措置が違法とする同機関の判断に従い、この措置が廃止されたため、欧州連合(EU)が報復関税を課す「正当な根拠はない」と主張した。WTO本部で2019年12月撮影(2020年 ロイター/Denis Balibouse)
[ワシントン 6日 ロイター] - 米国は6日、世界貿易機関(WTO)への提出文書で、米航空機大手ボーイング
米通商代表部(USTR)は同文書について、ボーイングと欧州の同業エアバス
米国とEUは、2004年から両社の補助金の違法性を巡り争い、それぞれWTOに提訴していた。WTOは既に両社に対する巨額の補助金は違法だと判断しており、昨年、米国に対し航空機やワイン、チーズなどの欧州製品75億ドル相当に報復関税を課すことを承認。EUの対米報復関税についても6月に認める見通しとなっている。
USTRは3月17日にエアバスの航空機への関税を10%から15%に引き上げたが、新型コロナウイルスの感染拡大で旅行需要が激減する中、多くの航空会社は納入を延期している。
ワシントン州議会は3月、16年前からボーイングやその他航空機関連企業に適用していた優遇税制措置を撤廃した。
USTRのライトハイザー代表は声明で「ワシントン州がこの比較的小規模な優遇税制措置を廃止したことで、米国はWTOの提言を完全に実行しており、この係争は決着する」とし、「これは、EUがいかなる米国製品に対しても報復関税を課す正当な根拠がないことを示す」と主張した。
エアバスの広報担当者はロイターに対し、米国が完全に順守しているかどうかについて判断するのはWTOだとした上で、判断にはかなりの時間がかかる可能性があるとの認識を示した。
また、WHOの判断で指摘されたボーイングへの「巨額な」他の補助金をどのように廃止するかに関する詳しい情報を得たいとも述べた。
ボーイングは発表文書で、優遇税制措置について、同社にとってコスト増につながるものの完全な廃止を支持したと指摘。「これは顧客や業界にとって正しいことであり、自由かつ公平で規則に基づいた貿易に対するわれわれのコミットメントを示す」と述べた。
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