豪予算、数十億ドルの雇用対策盛り込む 財政赤字は過去最高に
ロイター / 2020年10月6日 20時13分
オーストラリアのフライデンバーグ財務相は6日、新型コロナウイルスの影響で低迷する経済の回復を目指す今年度予算を発表した。ロックダウン下のメルボルンで7月撮影。(2020年 ロイター/Sandra Sanders)
[シドニー 6日 ロイター] - オーストラリアのフライデンバーグ財務相は6日、今年度(2020年7月から21年6月まで)予算を発表した。数十億ドル規模の減税と歳出により雇用を促進し、新型コロナウイルスの影響で低迷する経済の回復を目指す。その一方で財政赤字は過去最高水準となる。
向こう4年間で100万人の新規雇用を創出する計画を打ち出し、雇用促進のための新規プログラムに52億豪ドルを振り向けたほか、個人向けに178億豪ドル規模の減税を盛り込んだ。
こうした措置により、財政赤字は過去最高の2137億豪ドルとなり、対国内総生産(GDP)比で11%に達する見込み。
フライデンバーグ氏は議会に提出した声明で「雇用の回復なくして景気回復はなく、財政の回復もない」と訴えた。
新型コロナ感染を抑制するためのロックダウン(都市封鎖)により、オーストラリアの失業率は7月に7.5%と22年ぶり高水準を記録した。また4─6月期のGDPは7%減と過去最大のマイナスとなった。
政府が示した最新の経済見通しによると、失業率は今年度末に7.25%へ上昇するが、2023年6月には6%へ低下する見込み。GDPは今年度は1.5%のマイナスとなり、来年度は4.75%の成長に戻るとしている。
S&Pグローバル・レーティングスはオーストラリアの格付けについて、見通しは「ネガティブ」だが最上級の「トリプルA」を維持していると指摘した。財政の健全化には数年かかるとの見方を示した。
S&Pのディレクター、アンソニー・ウォーカー氏は「債務は過去と比べて著しく増加しているが、金利環境は今後長期間にわたって良好な状態が続くため、債務返済コストは管理可能だ」と分析した。
2019/20年度は6840億豪ドルだった債務総額は21/22年度に1兆豪ドルを突破し、23/24年度は1兆1400億豪ドル前後まで増加する見込み。
<雇用創出の取り組み>
政府は若年層の失業対策の一環として、35歳以下の人を雇用した企業を支援するために向こう1年間で40億豪ドルを支出する。
また中所得者向けの減税を前倒しするほか、昨年度の予算に盛り込まれた中低所得者に対する減税を延長する。
これらの減税の一部は7月1日にさかのぼって適用する。
予算は通常、5月に公表されるが、コロナ感染拡大の影響を見極めるために延期されていた。
*内容を追加しました。
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