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インタビュー:マイナス金利解除「早くても24年4月」=伊藤コロンビア大教授

ロイター / 2023年10月6日 10時48分

 伊藤隆敏コロンビア大教授は6日までにロイターのインタビューに応じ、2016年1月から続くマイナス金利政策の解除時期について「早くても24年4月」になるとの見方を示した。写真は日銀本店。9月20日撮影(2023年 ロイター/Issei Kato)

Takaya Yamaguchi

[東京 6日 ロイター] - 伊藤隆敏コロンビア大教授は6日までにロイターのインタビューに応じ、2016年1月から続くマイナス金利政策の解除時期について「早くても24年4月」になるとの見方を示した。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の撤廃はマイナス金利解除と同時か、それ以降になるとの見方も示した。

伊藤教授は、日銀が7月に政策修正に踏み切った背景について「昨年12月の変動許容幅拡大では出遅れ感があった。次は、追い込まれて修正するという事態は避けたかったのだろう」と語った。

当時の債券市場は「比較的落ち着いていた」と振り返り、7月会合で指し値オペの水準を1.0%まで引き上げたのは「長期金利の上限を試され続け、大量の国債を買い取る必要に迫られた過去の反省も混ざっていたと思う」との認識も示した。

そのうえで伊藤教授は「インフレ率(生鮮食品除くコア)は今年8月まで3%以上の水準が12カ月続いた。市場の政策修正観測に出遅れれば長期金利が上昇し、再び追い込まれ感が出かねなかった。結果として7月のタイミングで良かった」と、日銀の対応を評価した。

次の一手に関しては「24年度と25年度のインフレ率予測がいつ上方改定されるかにかかってくる」と指摘した。「10月か、来年1月の展望リポートが公表されるタイミングでインフレ予測が上方改定される可能性があり、その際に10年債の市中利回りが1%に迫る状況であれば、先行して、10年物国債の指し値水準をあらためて引き上げる可能性もある」との考えを述べた。

マイナス金利については「マイナス金利は政策金利となっており、これをゼロに戻す場合に金融引き締めではない、というのは無理がある。金利正常化の一歩だという受け止めは免れず、解除に傾く場合は論理的な説明が必要となる」と言及。来年の春闘を念頭に「力強い賃上げを確認する必要がある。マイナス金利解除は早くても4月ではないか」とした。

一方、YCCの撤廃は「長期金利の乱高下を招く心配もあり、マイナス金利解除と同時か、それ以降になるだろう」との見方も示した。

<じわりと続く円安介入に難易度>

伊藤教授は足元の為替円安にも言及し、「円安になっている最大の要因は日米の金利差」とした。「米国で強い経済指標が出れば高い金利水準が継続することが考えられ、金利差が開き、円安になる。弱い指標が出れば米利下げ観測が広がり、円高に振れる状況からも裏付けられる」とし、「米国の金融政策の影響が大きい」と述べた。

為替介入の是非については「1日に急激な円安になるという意味での過度な変動に対処するための、為替介入には効果がある」とした。一方、「急激な円安が進めば介入する理由が立つが、じわじわと続く円安で介入できるかは、かなり難度は高い」とも述べた。

日銀の政策判断を巡り「日銀の政策目的は、金融システムの安定と物価の安定を通じて健全な経済を維持することだ。単に円安を抑止するため、政策が決められるようなロジックを作るようなことはすべきではない」との考えも強調した。

<アコードの根幹変える必要ない>

インタビューでは、需給ギャップが戻り歩調となったことで「(政府のデフレ脱却宣言が)近づいているとはいえるが、いまその条件が満たされているとは言えない」との考えも述べた。

政府・日銀の政策協定(アコード)を巡り「デフレ脱却宣言が視野に入る経済環境になっても、根幹を変える必要はない」との認識も併せて述べた。

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