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アングル:投資家に米株回帰の動き、国債利回り低下で期待感

ロイター / 2023年11月6日 18時33分

米金融市場では、米国債利回りの上昇は一巡したとの期待感から、一部の投資家が数カ月間売られていた米国株へと回帰しつつある。写真はニューヨーク証券取引所で2020年3月撮影(2023年 ロイター/Carlo Allegri)

David Randall

[ニューヨーク 3日 ロイター] - 米金融市場では、米国債利回りの上昇は一巡したとの期待感から、一部の投資家が数カ月間売られていた米国株へと回帰しつつある。

国債利回りと株価はこの数カ月にわたり密接に連動し、国債利回りが16年ぶりの水準に上昇すると株式は下落した。しかし先週の大半は、米政府の借り入れ予想額が以前の見積もりから下振れたとの報道や、米連邦準度理事会(FRB)の利上げサイクルが終わりに近づいていることを示す手掛かりを背景に、こうした動きが逆転した。

10年物米国債利回りは10月につけた16年ぶりの高水準から35ベーシスポイント(bp)低下する一方、S&P総合500種株価指数はこの1週間に5.9%上昇し、2022年11月以来の大幅な上げを記録した。同指数は7月に付けた高値から約5%下げているが、年初来ではなお14%近い上昇を保っている。

UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのアセット・アロケーション・アメリカス責任者、ジェイソン・ドラホ氏は「金利の安定は他の資産クラスの足場固めにつながっている。株が上昇すれば、投資家は年末にかけてリターンを追求する必要を感じ始めるかも知れない」と述べた。

ドラホ氏は、米経済が景気後退を回避できるかどうか投資家が見極められるまで、S&P500は4200─4600で推移すると見ている。足元の水準は4365前後。

他の要因も株式にとって追い風となっている可能性がある。全米アクティブ投資マネジャーズ協会の指数によると、アクティブ運用投資家の株式エクスポージャーは2022年10月以来の最低水準に近い。逆張り投資家にとって有力なサインだ。

ドイツ銀行のストラテジストチームは3日のノートで、同行が追跡している株式のポジションがこの週に一時5カ月ぶりの水準まで低下し、投資家が株式市場に戻ってきたときに力強い相場反発につながったと説明した。

さらにCFRAリサーチのデータによると、株式相場は1年のうち最後の2カ月で上昇する傾向があり、S&P500の平均上昇率は3%だ。カーソン・インベストメント・リサーチのデータによると、S&P500の2週間の平均上昇率が1年で最も高いのは10月22日を起点とする週の2.2%。

カーソンのチーフ・マーケット・ストラテジスト、ライアン・デトリック氏は「好調な経済状況の中、市場は非常に売られ過ぎていた。FRBがややハト派色を出したことが相場上昇に欠かせない発火材になった」と分析。株価は足元の反発によって7月の高値を超えると見込んでいる。

3日に発表された10月の米雇用統計は失業率が小幅上昇する一方、賃金の上昇幅は過去2年半で最小となり、労働市場の鎮静化を示した。これでFRBが金利を据え置くとの見方が強まり、株価強気派にさらなる追い風が吹いた。

もちろん多くの投資家はまだ株への回帰に及び腰だ。ハイテク株の指標となるアップルは2日に公表した年末商戦を含む10─12月の売上高見通しが市場予想を下回り、LSEGのデータによると少なくとも14人のアナリストが目標株価を引き下げた。

10月の雇用統計が示唆したいわゆる「ゴルディロックス経済」が長続きしないのではないかと懸念する投資家もいる。ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズの米債券部門責任者、グレッグ・ウィレンスキー氏は、成長が予想を下回る兆候は今のところ株と国債価格を押し上げているものの、いずれは景気後退懸念を引き起こすかもしれないと危惧。「『良い』減速が、やがては経済と労働市場が悪化し過ぎているという議論に転じるかもしれない」と述べた。

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