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焦点:利下げ先陣はECBか、米と比べさえない欧州経済

ロイター / 2023年11月6日 18時13分

金融市場で欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測が高まっている。写真はフランクフルトのECB本部前で3月撮影(2023年 ロイター/Heiko Becker)

Yoruk Bahceli

[3日 ロイター] - 金融市場で欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測が高まっている。好調な米国とは対照的にユーロ圏がリセッション(景気後退)に直面する中、政策緩和に踏み切る最初の主要中央銀行になるとみられている。

短期金融市場のトレーダーは最近まで、インフレ鈍化やこれまでの利上げを受けた成長減速を背景に、ECBと米連邦準備理事会(FRB)、英中銀はいずれも来年下期に金融緩和を始めると予想していた。

ただその後に発表されたユーロ圏の10月インフレ率が約2年ぶり低水準となり、第3・四半期の域内総生産(GDP)も前期比0.1%減に落ち込んだことから、状況は変わった。

投資家は主要中銀による引き締めが既に打ち止めになったことを確信しており、今や利下げがいつ開始されるかに焦点が移っている。

トレーダーらは現在、ECBが4月までに25ベーシスポイント(bp)の利下げを実施する確率を80%以上としている。これまでは7月の利下げ開始が完全に織り込まれていた。さらに来年の追加利下げも予想しており、24年末までに25bpの利下げが4回実施され、中銀預金金利が3%に引き下げられる確率を50%以上織り込んでいる。

BNYメロン・インベストメント・マネジメントのチーフエコノミスト、シャミク・ダール氏は「欧州経済は明らかに弱体化しており、かなり急激に弱まっている」と指摘。「欧州の金利がピークに達したと考える理由は、米国や英国よりも多い。市場もそうみている」と述べた。

英中銀は2日、政策金利の据え置きを決定。目先の利下げは排除したが、トレーダーは緩和観測を強めている。

現在の市場の予想は24年に2回の利下げだが、より頑固なインフレに直面しているため、他の中銀よりゆっくりと動くとみられている。

FRBの利下げ観測も高まっている。米雇用統計が事前予想より弱かったことから、トレーダーは3日の時点で、来年はおそらく5月から4回の利下げが実施される可能性が高いと予想している。

<先走り過ぎとの見方も>

しかし、タカ派的な中銀により何度も足元をすくわれてきた投資家の中には、市場が先走りし過ぎていると慎重な見方を示す向きもある。

世界的な政策引き締めが終わったとの期待感を背景に、債券利回りは数年来の高水準から低下している。ユーロ圏ではイタリアの債券利回りが3日、週間ベースで6月以来の大幅低下となった。

ダンスケ銀行のチーフアナリスト、ピエト・クリスチャンセン氏は、ECBの利下げ期待は「破滅と憂鬱」のシナリオを反映しているとし、「この見方を正当化するのは欧州経済の完全な崩壊だ」と述べた。

ラガルドECB総裁も直近の政策理事会後の記者会見で、「利下げについて議論することさえ、全くもって時期尚早だ」と述べ、市場の利下げ期待をけん制。一部のタカ派の当局者らは24年前半に利下げが実施されるとの見方を「全くの見当違い」などと一蹴した。

ECBは、賃金の伸びが堅調で、サービスインフレも依然根強いと強調。イスラム組織ハマスとイスラエルの衝突で原油価格が上昇すれば、エネルギー輸入に依存するユーロ圏にとって大きなリスクとなる。

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのストラテジスト、ガープリート・ギル氏は「クロスマーケットベースで欧州金利をアンダーウエートにしている。市場は来年のECB緩和を織り込み過ぎていると思う」とした。同氏は最初の利下げを来年9月と予想している。

一方、利下げ観測の高まりはECBへの警告との見方もある。内需が誘発したインフレに積極的に対応したFRBに追随し、ECBはエネルギー価格主導のインフレに対応すべく金利を引き上げ過ぎたとの見立てだ。

TSロンバードのグローバルマクロ担当マネジングディレクター、ダリオ・パーキンス氏は「欧州が現在の金利水準ではやっていけるとは思えない。つまり、ECBは金利を引き上げ過ぎたということであり、迅速に金利を戻すことを期待したい」と述べた。来年は少なくともトレーダーが想定する程度の利下げを行う必要があるとの見方を示した。

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