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アングル:日経平均に「アレ」の思惑、業績期待と米金利再上昇リスク綱引き

ロイター / 2023年11月6日 15時59分

日米の中銀イベントや米雇用統計を無難に通過し、株式市場では日経平均の年初来高値更新の可能性が意識され始めた。写真は東京証券取引所で2013年5月撮影(2023年 ロイター/Toru Hanai)

Hiroko Hamada

[東京 6日 ロイター] - 日米の中銀イベントや米雇用統計を無難に通過し、株式市場では日経平均の年初来高値更新の可能性が意識され始めた。今週は指数寄与度の高い企業の決算があり、良好な内容なら日本株は一段高との思惑もある。一方、急ピッチな株高でスピード調整が見込まれるほか、インフレ再燃による米金利再上昇や中東情勢への警戒感もくすぶる。阪神タイガースの優勝にちなみ、年初来高値を「アレ」と呼んで期待する市場関係者も増えている。

3日公表の10月米雇用統計では、雇用者数の伸びが市場予想を下回り、米連邦準備理事会(FRB)が12月会合でも利上げを見送る公算が大きいとの見方が優勢となった。米長期金利は一時4.48%台まで低下、米株も上昇し、週明けの東京株式市場で日経平均は9月21日以来の高水準を付けた。米金利高が逆風となっていた半導体関連などのハイテク銘柄が指数をけん引した。

「そろそろ株式市場でも『アレ』が意識されそうだ」と野村証券のストラテジスト・神谷和男氏は指摘する。「アレ」は、プロ野球日本一となった阪神・岡田彰布監督が、好調な年でもリーグ優勝を逃した苦い経験から、優勝という言葉を意識しすぎないよう封印して代わりに使った表現として知られる。株式市場での「アレ」は「年初来高値の更新」で「6月の高値以降、何度も手が届きそうになりながら、なかなか届かない水準」(国内証券のアナリスト)ともみられている。

もう一段の株高のけん引役として注目されるのが、主力企業の決算だ。今週はソフトバンクグループや東京エレクトロンなど、日経平均の指数寄与度の高い企業の決算発表が控えている。岩井コスモ証券の投資調査部部長・有沢正一氏は「主力企業の好決算が期待され、年末に向けて年初来高値の更新は十分あり得る」と話す。

市場では、日経平均のチャートの形状にも関心が寄せられている。野村の神谷氏は「日経平均はW底を形成しつつあり、極めて強いシグナルになる」と指摘する。

日経平均は9月15日高値(3万3634円31銭)を起点に、10月前半の安値、半ばの高値、後半の安値を経て「W」の形状を形成してきた。ネックラインとなっていた「W」の真ん中のトップ(3万2533円08銭=10月13日)を上抜け、目先は上昇する可能性が高いとの声もある。75日移動平均線(3万2160円36銭=現在)を「マド」を開けて上抜けたほか、25日線も上向きに転じており、強気サインが次々に点灯している。

<米金利動向には警戒>

もっとも、日経平均の上昇は急ピッチでもある。きょうまでの4連騰の間に、終値ベースで2000円近く上昇した。岩井コスモの有沢氏は「きょうの上昇で10月分の下げをカバーした。いったんスピード調整が入りやすい」とみている。

米長期金利の動向には、引き続き目配りが必要ともみられている。東洋証券のストラテジスト・大塚竜太氏は「単月の雇用統計の結果だけで米金利高が落ち着いたとみるのは、早計だろう」との見方を示す。米金利が過度に低下する場合、円高が促され、輸出株を中心に株価の重しになり得る。

T&Dアセットマネジメントのチーフ・ストラテジスト兼ファンドマネージャー、浪岡宏氏は「中東情勢が一段と悪化し、原油高によってインフレが再加速した場合、米金利が再び上昇しやすく株価の下押しリスクにつながる」と指摘する。発生する可能性は低いとしているが、その場合には、日経平均は3万円割れの水準まで下落する可能性があるという。

日経平均は、あらためて3万3000円が視野に入ってきたが、3万3000円を超えると割安感は薄れてくるともみられており「高値トライには、来期の企業増益や米国の利下げが見えてくる必要があるだろう」と、ちばぎんアセットマネジメントの森田潤調査部長は話している。

(浜田寛子 編集:平田紀之、石田仁志)

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