実質賃金6月は27カ月ぶりプラス転換、ボーナス押し上げ1.1%増
ロイター / 2024年8月6日 9時15分
厚生労働省が6日に公表した6月の毎月勤労統計(速報)によると、実質賃金は前年比1.1%増と27カ月ぶりにプラス転換した。写真は都内で2017年1月撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Yoshifumi Takemoto
[東京 6日 ロイター] - 厚生労働省が6日に公表した6月の毎月勤労統計(速報)によると、実質賃金は前年比1.1%増と27カ月ぶりにプラス転換した。賃上げを背景に夏のボーナスが増え、現金給与総額の前年比が27年ぶりの高水準となり、物価上昇ペースを相殺した。
労働者1人当たりの平均名目賃金を示す現金給与総額は前年比4.5%増の49万8884円で、5月の2.0%増から増加幅が拡大、1997年1月以来の高い伸びとなった。
一方、消費者物価指数(持家の帰属家賃除く総合)の前年比は3.3%で5月と横ばいにとどまった。
現金給与総額の最大の増額要因はボーナスなど特別に支払われた給与で、前年比7.6%増の21万4542円と今年1月以来の伸びとなった。
厚労省によると、賃上げによるボーナス増額に加え、今年6月にボーナスを支給した事業所の割合が増えており、昨年は7月に支給した事業所の前倒し効果も想定されるという。
所定内給与は前年比2.3%増(5月は同2.1%増)の26万4859円となった。 所定外給与も、同1.3%増(5月0.9%増)の1万9483円と2カ月連続でプラスだった。
日銀などが重視しているとされる、共通事業所ベースの現金給与総額は前年比5.4%増。公表されている2016年以来最大の伸びとなった。一方、同ベースの所定内給与は前年比2.7%増と、5月の同2.8%増から伸びが小幅に縮小した。
第一生命経済研究所の新家義貴・主席エコノミストは「共通事業所ベースでの所定内給与が伸びていないのは予想を下回るが、ボーナスによって特別に支払われた給与が大きく上振れたのはサプライズ」と指摘。
新家氏によると、ボーナスは昨年7月に支払われた企業の前倒し支給の効果も想定されるため6─7月をならしてみる必要はあるものの、「今後、賃上げ効果が広がり所定内給与の伸びが徐々に拡大し、電気ガス代の補助金再開で9月以降に物価の伸びも落ち着けば、実質賃金のプラス基調が今後も期待できる」という。
なお、毎月勤労統計で用いられる消費者物価指数は、2020年基準の持ち家の帰属家賃を除くベース。食品などの値上げにより昨年1月に5.1%まで上昇、その後ほぼ3%台で推移している。
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