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物価目標は25年度後半に実現、少なくとも1%程度まで利上げ必要=田村日銀委員

ロイター / 2025年2月6日 13時19分

 2月6日、日銀の田村直樹審議委員は、様々な不確実性はあるものの、中小企業まで含めた賃上げの実績を確認できる2025年度後半には、物価目標が「実現したと判断できる状況に至る」との見通しを示した。写真は都内の日銀本店。昨年3月撮影(2025 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Takahiko Wada

[松本市(長野県) 6日 ロイター] - 日銀の田村直樹審議委員は6日、さまざまな不確実性はあるものの、中小企業まで含めた賃上げの実績を確認できる2025年度後半には、物価目標が「実現したと判断できる状況に至る」との見通しを示した。中立金利は「最低でも1%程度」と改めて述べ、物価目標が実現する25年度後半には「少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げておくことが、物価上振れリスクを抑え、物価安定の目標を持続的・安定的に達成する上で必要だ」と語った。

長野県松本市で開いた金融経済懇談会であいさつした。田村委員は昨年9月の岡山での懇談会では、物価目標の達成時期を「26年度までの見通し期間の後半」としていたが、6日の発言からは田村委員が達成時期を前倒しした可能性が示唆される。

田村委員は政策委員の中で最もタカ派とみられている。0.75%への利上げのタイミングについては「適切に判断してまいりたい」と述べるにとどめたが「政策金利を0.75%に引き上げたとしても、引き続き実質金利は大幅にマイナスであり、経済を引き締める水準にはまだ距離がある」とした。

田村委員は、物価の上振れリスクを強調した。企業の価格転嫁の状況や、人手不足を反映した人件費の上昇とその価格転嫁の動きを踏まえると、物価の「上振れリスクが膨らんできている」と述べた。物価上振れリスクがある中で短期金利が経済・物価に対して中立的な水準を下回っていると「物価をさらに押し上げてしまう」と警戒感を示した。

日銀短観や日銀の「生活意識アンケート調査」を基に「企業や家計の予想物価上昇率はしっかりと高まっており、おおむね2%程度の水準に達している」と指摘した。

マイナス圏推移が続く需給ギャップの日銀の推計値については、その要因になっている設備の稼働状況を示す資本投入ギャップのマイナスに関して「設備がフル稼働していないのは必ずしも需要が不足しているからではなく、人手不足によって十分に設備を稼働させられないという側面も大きい」と指摘。「需給の逼迫度合いは業種によって差はあるが、マクロ的な需給ギャップは既に実態的にはプラスの領域にあり、供給力不足が物価に上昇圧力をかけている状況にあるのではないか」と述べた。

<異次元緩和の効果に懐疑的なスタンス>

田村委員はあいさつの後半で、昨年12月に取りまとめた過去四半世紀にわたる経済や物価、金融政策運営を振り返る「多角的レビュー」について、持論を展開。

13年以降の大規模な金融緩和が「全体としてみればプラスの影響をもたらした」と言い切ることはできないのではないか、と述べた。大規模緩和の長期化も一因となってビジネスの新陳代謝が進まず、生産性が低迷したとして「供給サイドに対して大きな副作用があった可能性が高い」と指摘した。大規模緩和の副作用が遅れて出てくる可能性に関連して、過度な円安の進展や都心住宅価格の高騰などが「今後、経済や国民生活にどのような影響を与えていくかといった点も、丁寧にフォローしていく必要がある」と述べた。

また、13年4月の量的・質的金融緩和(QQE)導入以降、2年程度は「為替、株価、不動産といった資産価格のリプライシングを通じて、経済・物価にプラスの影響を与えた」ものの、一段の国債買い入れの増額やマイナス金利の導入など「その後の追加施策の限界的な効果は極めて小さかった」とし、将来的に非伝統的金融政策を検討せざるを得なくなった場合には「慎重に検討することが必要だ」と述べた。

QQEの拡大を決めた14年10月の金融政策決定会合では、政策委員の賛否が真っ二つに分かれ、5対4の「薄氷」の決定だったことが議事録でも明らかになっている。

このほか、2%物価目標については「2.0%という数値にこだわるのではなく『緩やかな上昇』の範囲にある限り、その背後にあるメカニズムが物価安定目標と整合しているかを見ていくべきだ」と話した。

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