消費減税に首相も関心、税率ゼロ%の方が対応容易=自民・安藤氏
ロイター / 2020年8月6日 17時30分
8月6日、自民党の安藤裕衆議院議員は、ロイターのインタビューに応じ、新型コロナウイルスの影響で苦境にあるあらゆる業界に対する粗利補償を行う必要があり、消費税率をゼロ%に引き下げることが急務との持論をあらためて強調した。写真は都内で6月撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)
[東京 6日 ロイター] - 自民党の安藤裕衆議院議員は6日、ロイターのインタビューに応じ、新型コロナウイルスの影響で苦境にあるあらゆる業界に対する粗利補償を行う必要があり、消費税率をゼロ%に引き下げることが急務との持論をあらためて強調した。
レジのシステム対応上8%や5%よりもゼロ%に引き下げる方が容易だとの見解を示した。消費税率の引き下げには安倍晋三首相も関心を持っていると述べた。
<粗利補償しなければ廃業続出、GDP縮小へ>
安藤氏が主宰する自民党の若手議員を中心とした「日本の未来を考える勉強会」は3月末、新型コロナの感染拡大に歯止めをかけるための営業自粛が「令和の恐慌」をもたらしかねないとして、1)倒産・廃業防止のための粗利補償、2)10万円の全国民一律現金給付、3)消費税率ゼロ%への引き下げ━━などを提言していた。
安藤氏は「今も必要な政策の内容は変わらない」と主張。粗利補償の対象は「夜の街の業界も含め、ありとあらゆる業界。そうでないと廃業してしまい、日本の供給力が低下する。現在550兆円前後の国内総生産(GDP)が500兆円、400兆円と縮小し、日本は途上国に転落してしまう」と警鐘を鳴らした。ゾンビ企業延命のリスクなどは「現在は議論する段階ではない」と一蹴した。
<景気後退局面での消費増税は「失敗」>
消費税について「政府が2018年10月から景気後退局面入りを認めており、19年10月の増税は失敗だった」と明言。早期の減税への期待をあらためて表明した。10%から8%、5%への減税よりも、ゼロ%への引き下げの方が、「無税ボタン」を押すだけで済むため、スーパーなどのレジの対応上容易であるとの見解を示した。
現時点で政府・与党内で消費税減税の表立った検討はされていないように見えるが、安藤氏は新型コロナを受けて「安倍首相も関心を持っている」と明言した。もっとも、首相が具体的にどのような道筋で減税を実現するかについては明言を避けた。
仮に消費減税が本格的に政府の検討対象となった場合には、「法人税や所得税の引き上げがあり得るのではないか」と述べ、財政再建を重視する財務省も受け入れる形での政策パッケージを提唱した。
<日銀の国債買い入れ増額は不要>
安藤氏は減税の財源として国債発行を提唱している。国債発行の増額は、日銀が大量の国債買い入れを続けており問題がないとの立場だ。2020年度は2度にわたる補正予算を全額新規国債発行で賄っているため、国債発行額が急増するが、市中の国債流通額が減少すれば「民間金融機関が困る」として、「日銀による国債買い入れの増額は不要」と述べた。
7-8年の経験で、日銀の金融政策のみでは物価目標の達成は難しいことが証明されたとして、財政と金融の協調による政策運営の必要性を強調。「好況時は税率を引き上げ、不況時には国債発行を増やせばよい」とした。
<在宅勤務拡大、不動産市況への影響を懸念>
政府のコロナ対策のうち、観光振興策「GoToキャンペーン」については「無駄ではないが、期間が限定されており、起死回生策にはなりにくい。全商品・サービス対象1割値引きに相当する消費税率ゼロ%の方が圧倒的に効果的だ」とあらためて強調した。
西村康稔経済再生相を中心に政府がコロナ対策として進める在宅勤務の拡大は、オフィスビル需要の低下、不動産市況の悪化につながりかねないと指摘。「バブル崩壊時のようなバランスシート不況になってしまったら、えらいことになる。危うい」と懸念を示した。
(竹本能文、木原麗花)
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