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日本製鉄、呉製鉄所の全面休止など構造改革実施へ 過剰能力削減

ロイター / 2020年2月7日 18時17分

 2月7日、日本製鉄は、呉製鉄所にある高炉などの全設備の休止や和歌山製鉄所の高炉1基の休止など、製鉄所のシンボルである高炉の休止を含む構造改革に踏み込んだ。写真は都内で昨年3月撮影(2020年 ロイター/YUKA OBAYASHI)

[東京 7日 ロイター] - 日本製鉄<5401.T>は7日、呉製鉄所(広島県呉市)にある高炉などの全設備の休止や和歌山製鉄所(和歌山市)の高炉1基の休止など、製鉄所のシンボルである高炉の休止を含む構造改革に踏み込んだ。

「原材料高・鋼材価格安」が長期化する中、鉄鋼業を取り巻く環境は厳しくなっている。こうした状況は将来的にも続くとみており、過剰生産の解消に向け、生産体制に大きくメスを入れた。

右田彰雄副社長は会見で、足元の状況について「過去に例を見ない状況に直面している。現在、需要は落ち込んでいるが、これは将来も続く」と説明し、「現状の生産能力は大きすぎるとして対策に踏み切った」と述べた。

呉製鉄所では、高炉・焼結・製鋼の設備を2021年度上期末めど、熱延・酸洗などの設備は23年度上期末めどに休止する。また、和歌山製鉄所(和歌山市)に2基ある高炉のうち1基も、22年度上期をめどに休止する。

製品製造工程では、名古屋製鉄所の厚板ラインを22年度下期をめどに休止し、鹿島、君津、大分製鉄所の厚板ラインに生産を集約する。堺製造所の電気亜鉛メッキラインは20年度末をめどに休止することなども決めた。 

ステンレス事業では、日鉄ステンレスの衣浦製造所の熱延工場と精密品製造専用設備を休止し、生産集約を行う。

すでに発表していた八幡製鉄所の高炉・製鋼設備の休止は、20年度末から20年度上期末めどに前倒しする。広畑製鉄所のブリキ製造ラインの休止も21年度下期中を20年度末に前倒しした。

これらの取り組みにより、現行、連結ベースで5400万トンある粗鋼生産能力は年間約500万トン削減、設備休止による直接的な収益改善効果は、固定費や修繕費の削減、効率的な設備への集中による変動費の効果で約1000億円を見込んでいる。

ただ、人員の吸収は可能とし「希望退職の募集は行わない」(右田副社長)という。

今後について、右田副社長は「一層競争力のある最適生産体制の構築に向けた検討を継続する」と述べた。また、海外事業についても「将来的に収益回復の見込みがない不採算海外事業の再編・撤退を加速化する」とした。数社の減損や撤退を検討しているという。

<20年3月期最終損益は4400億円の赤字>

2020年3月期(国際会計基準)は、原料高・鋼材市況安の継続などを背景に、業績が低迷する鹿島製鉄所・名古屋製鉄所・広畑製鉄所のほか、呉製鉄所の休止予定資産の回収可能性などを検討したことで、3966億円の過去最大となる減損損失を計上。この結果、連結事業損益は1000億円の黒字から3100億円の赤字へ、当期損益は400億円の黒字から4400億円の赤字へと修正した。

減損を除いたベースでも、下期の事業損益は191億円の赤字と厳しい状況だ。全国の粗鋼生産量は9863万トンで、リーマン・ショック時の9645万トン以来の低水準となる見通し。同社の単独粗鋼生産も前回公表比100万トン引き下げ3970万トンにとどまる。これは前年比で130万トンの減少となる。

宮本勝弘副社長は「世界の鉄鋼需要は不透明感が強い。国内も当面厳しい」と指摘。新型肺炎の影響についても「どれだけ影響が出てくるか。日本の製造業も中国から部品を輸入しており、サプライチェーンへの影響が懸念される」と述べた。まだ業績見通しには織り込めていない。

未定としていた期末配当は実施を見送り、年間配当は10円(前期は80円)となる見通し。業績予想の修正に伴い、役員報酬の一部返上も決めた。

*会見内容を加えて再送します。

(清水律子 編集:青山敦子 田中志保)

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