新型コロナ、米で未認証のマラリヤ薬投与拡大 トランプ氏が推奨
ロイター / 2020年4月7日 15時21分
新型コロナウイルス感染症の患者が急増しているニューヨーク州など米国の一部の地域で、入院患者への抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」の投与が急速に拡大している。写真は3月31日、ワシントン州シアトルで撮影(2020年 ロイター/Lindsey Wasson)
[ニューヨーク/ロサンゼルス 7日 ロイター] - 新型コロナウイルス感染症の患者が急増しているニューヨーク州など米国の一部の地域で、入院患者への抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」の投与が急速に拡大している。
ヒドロキシクロロキンは、トランプ大統領が新型コロナ治療薬として導入を強く主張しているが、効果は実証されていない。
ロイターの調査によると、ニューヨーク、ルイジアナ、マサチューセッツ、オハイオ、ワシントン、カリフォルニア州で病院を展開する6社以上の大手医療チェーンが、新型コロナ感染症の入院患者にヒドロキシクロロキンを日常的に投与している。ただ、現場の医師は効果があるかどうかは不透明だと話している。
米国では35万5000人以上が新型コロナに感染。1万人以上が亡くなっている。連邦政府は最大で24万人の死者が出る恐れがあると推定している。
新型コロナ感染症は現時点で有効な治療法が見つかっておらず、現場の医師は、ごく一部の研究で効果を発揮する可能性が指摘されているヒドロキシクロロキンとその類似薬「クロロキン」を症状の悪化した患者に投与している。
一部の医師によると、トランプ大統領などがヒドロキシクロロキンの利用を呼びかけていることもあり、患者から投与を求められるケースも出ている。
新型コロナの検査で陰性反応が2回出ているトランプ大統領は4日、ヒドロキシクロロキンについて「自分なら投与を受けるかもしれない」と発言。「非常に前向きな話を聞いている。今後もデータの収集を続ける」と述べた。
ナバロ米大統領補佐官(通商製造政策局長)は6日、ヒドロキシクロロキンの有効性を巡って、週末に政府内で対立があったことを認めた。ニュースメディアのアクシオスによると、4日の会合では有効性が証明されていないと主張する国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長とナバロ氏が激しく衝突したという。[nL4N2BU39T]
ヒドロキシクロロキンは失明や心臓疾患など副作用のリスクが指摘されているが、ロイターの取材に応じた複数の医師は、副作用のリスクは比較的低いため、数日間の短期の投与であれば問題ないと指摘。価格も安く、入手しやすいと話している。
ただ、どの段階の患者に投与するのか、他の薬と併用するのかなど、投与の方法は医療機関によってまちまちだ。
また、ヒドロキシクロロキンが効果を発揮する可能性を指摘した一部の研究では、軽症者や初期段階の患者が臨床試験の対象となっており、薬の投与がなくても回復していた可能性がある。
入院患者は重症者が多く、現場の医師はヒドロキシクロロキンに効果があるかどうか判断は難しいと話している。
ニューヨークで23の病院を展開するノースウェル・ヘルスの幹部は「新型コロナ感染症の重症患者数百人を診てきたが、大半の患者がヒドロキシクロロキンを投与されている」とした上で「まだ非常に初期の段階だが、個人的には患者に劇的な回復はみられないと感じている」と述べた。
マサチューセッツ州のレーヘイ・ホスピタル&メディカル・センターの医師も、約30人の患者にヒドロキシクロロキンを処方したが「患者に著しい改善」はみられないという。
この医師は「症状の軽い患者にはある程度の効果があったのかもしれないが、集中治療室に入るようなレベルの患者については、進行を遅らせる効果はみられない」と語った。
<集中治療室から生還>
一方、新型コロナ感染症で一時、集中治療室に入ったニューヨーク在住のデビッド・ラットさん(44)は、ヒドロキシクロロキン、アジスロマイシン、クラザキズマブ、カレトラを投与され、病状が劇的に回復し、集中治療室を出た。
ラットさんによると「医者は何が回復につながったのかまだ結論を出していない」という。
ただ一部の医師は、ヒドロキシクロロキンの投与を推奨している。
仏マルセイユの研究チームによると、新型コロナ感染症の軽症患者80人にヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンを投与した結果、8日後には93%の患者でウイルスが検出されなかった。
中国の臨床試験でも、まだ初期段階だが、まちまちの結果が報告されている。
臨床試験は規模が小さいケースや、薬を投与していない患者との比較が行われていないケースも多く、ヒドロキシクロロキンの効果はまだ実証されていない。
現在進められている治療法が有効と証明されるには数週間から数カ月かかるとみられている。
(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)
この記事に関連するニュース
-
モデルナ、研究開発の進展と戦略的優先事項を発表
PR TIMES / 2024年9月19日 12時45分
-
中国の公立病院から輸入薬が消え、患者の選択権も失われた―シンガポールメディア
Record China / 2024年9月18日 7時0分
-
ボストン・ウェルネス通信 その12 GLP-1受容体作動薬、長期的な成功の鍵
Japan In-depth / 2024年9月3日 14時30分
-
ニューロクライン社との提携プログラムである統合失調症治療薬候補NBI-1117568の第II相臨床試験で良好な結果
PR TIMES / 2024年8月29日 10時15分
-
副作用はほぼないが効果も証明されていない…そんな「日本独自の薬」が50年以上販売され続けているワケ【2024上半期BEST5】
プレジデントオンライン / 2024年8月27日 9時15分
ランキング
-
1《深セン市で襲撃された10歳男児が死亡》「私の子が何か間違ったことをしたの?」凄惨な犯行現場、亡くなった男の子は「日中ハーフ」と中華系メディアが報道
NEWSポストセブン / 2024年9月19日 18時5分
-
2インド製弾薬、欧州経由でウクライナへ ロシア抗議でも規制の兆しなし
ロイター / 2024年9月19日 16時24分
-
3レバノンのトランシーバー爆発 “ロゴ報道”の日本企業「偽物も多く流通した、10年前に販売終了の商品の可能性も」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年9月19日 15時55分
-
4北京の日本大使館に半旗 中国・深圳の日本人男児死亡で弔意 駐中国大使が現地入り
産経ニュース / 2024年9月19日 13時53分
-
5中国・深セン 襲われた日本人学校男児が死亡 現地の日本人社会にも衝撃広がる
日テレNEWS NNN / 2024年9月19日 12時9分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください