フィリピン、第1四半期は約21年ぶりマイナス成長 さらに悪化も
ロイター / 2020年5月7日 17時47分
フィリピン統計局が発表した第1・四半期の国内総生産(GDP、2018年基準)は前年同期比0.2%減と、市場予想に反して減少し、1998年第4・四半期以来約21年ぶりのマイナス成長となった。写真はロックダウン中のマニラで、4月24日撮影。(2020年 ロイター/Eloisa Lopez)
[マニラ 7日 ロイター] - フィリピン統計局が発表した第1・四半期の国内総生産(GDP、2018年基準)は前年同期比0.2%減と、市場予想に反して減少し、1998年第4・四半期以来約21年ぶりのマイナス成長となった。
ロイターがまとめたアナリストの予想中央値は3.1%増だった。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、貿易や観光、国内消費が大きく打撃を受けた。
前期比では5.1%減となった。
2019年第4・四半期の成長率は6.4%増から6.7%増に上方修正された。統計局が基準年を2000年から2018年に変更したことが影響した。
フィリピンは、新型コロナの感染拡大を抑制するため、経済活動の中心であるルソン島で3月中旬から4月末までロックダウン(都市封鎖)を実施。5月1日からは封鎖措置が緩和され、低リスク地域での段階的な商業活動再開に道が開かれたが、感染者が集中している首都マニラでは厳格な外出制限が続いている。
経済開発庁高官はオンライン会見で「(外出制限などで)感染拡大を阻止し、人命を救う取り組みは、国内経済に大きな痛手をもたらした」と述べた。
その上で、政府が大型インフラ投資を加速させるに伴い「6月までに景気の軌道転換を始めることが可能だ」との見方を示した。
フィリピンの新型コロナ感染者は1万人超、死者は600人を超えている。
同国中央銀行は、4月の緊急利下げを含め今年に入って3回利下げを実施。政策金利は過去最低の2.75%となっている。[nL3N2C41VR]
<エコノミストはさらなる悪化を予想>
エコノミストは、経済成長率が今後さらに悪化すると予想。都市封鎖の影響で内需が大きな打撃を受けるとの見方を示している。
キャピタル・エコノミクスのアジア担当エコノミスト、アレックス・ホームズ氏は「第1・四半期の落ち込みは氷山の一角にすぎない」とし「第2・四半期はさらに大幅に悪化する公算が大きい」と述べた。
第1・四半期は、家計消費が前年比0.2%増に鈍化。少なくとも過去20年で最低の伸びとなった。昨年第4・四半期は5.7%増だった。
政府支出も前年比7.1%増と、昨年第4・四半期の17%増から大幅に減速。
資本形成は18.3%減。昨年第4・四半期は2.5%増だった。
中銀のジョクノ総裁はオンライン会見で、追加利下げを急がない方針を示唆。今年に入り125ベーシスポイント(bp)の利下げを実施しているとし「立ち止まり、様子を見守るべきだ。何が起きているかを判断する必要がある」と述べた。
総裁は新型コロナの感染拡大が下半期に終息すれば第4・四半期に力強い景気回復を期待できると述べた。
*内容を追加しました。
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