アフガン抵抗勢力「戦闘続ける」、タリバン完全掌握表明後も
ロイター / 2021年9月7日 15時2分
アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンは6日、抵抗勢力の支配地域として残っていた北東部パンジシール渓谷を完全に掌握したと表明した。アフガン全土は完全な支配下にあり、間もなく新政府を発表すると強調した。写真はソーシャルメディアに6日に投稿されたパンジシール州知事庁舎前の様子。ソーシャルメディア提供(2021年 ロイター)
(内容を追加しました)
[6日 ロイター] - アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンは6日、抵抗勢力の支配地域として残っていた北東部パンジシール渓谷を完全に掌握したと表明した。アフガン全土は完全な支配下にあり、間もなく新政府を発表すると強調した。
ソーシャルメディアには、タリバンのメンバーがパンジシール州知事庁舎の前に立つ写真が投稿された。
タリバンのザビフラ・ムジャヒド報道官は記者会見で「敵対勢力の最後の拠点だったパンジシールを掌握した」と述べた。
パンジシールの市民は、1996─2001年のタリバン支配時期に抵抗し戦いを展開。タリバンは「差別的な行動」は取らないと強調している。報道官は「彼らは兄弟であり共に国の繁栄のために働く」とした。
一方、反タリバン勢力のアフガニスタン民族抵抗戦線(NRFA)を率いるアフマド・マスード氏は「われわれはパンジシールで抵抗を続ける」とし、アフガン正規軍の一部や地元民兵による部隊がまだ戦闘を続けていると表明。ツイッターで自身は安全としたが、詳細は明らかにしていない。
NRFAの対外担当責任者は、タリバンの勝利宣言は誤りで、抵抗勢力は戦いを続けていると述べた。
タリバンは各地を制圧した後8月15日に首都カブールを陥落させた。パンジシール渓谷は反タリバン勢力最後の拠点。
<新政権、発足日程は未定>
タリバンのムジャヒド報道官は、新政府の人事を巡るタリバン内部の対立を否定。新政権は間もなく発表されるとしたが具体的な日程は明らかにしなかった。
バイデン米大統領は6日、米国がタリバン政権を承認するかとの質問に「それはかなり先のことになる」と記者団に述べた。
かつてのタリバン政権下では暴力的な公開処刑が行われたほか、家族の男性の同伴なしに女性は外出することを禁止されたが、タリバンはそうした厳しい規律を強いることはないと国民や諸外国に訴えている。
ただ、大都市のカブール、カンダハル、ヘラートにある大学の教師などによると、女子学生をカーテンで分けたり、別々に授業を受けさせるなどのケースが見られるという。
<米国務長官ら、カタール首長と会談>
ある関係者によると、米国人を含む約1000人がアフガン北部からなお退避できず、チャーター便の出発許可を待っているという。遅延は米国務省内の問題だとされるが、ロイターは独自に確認できていない。
国務省当局者は6日、先月末のアフガニスタン撤退以降、米国人4人が国外に退避したと発表。「米国人4人をアフガンから陸路で出国するのを支援した。米大使館は彼らが国境を越えて第三国に入国する際に出迎えた」と語ったものの、詳細には触れなかった。
アフガンからの出国を希望する米国人は100人程度だという。
こうした中、米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官はカタールでタミム・ビン・ハマド・サーニ首長と会談。アフガン情勢や治安向上への取り組みについて議論した。
<中国はタリバンに人道支援確約か>
世界保健機関(WHO)関係者によると、アフガン国内では欧米の支援団体がタリバンとの取引を禁じられているため、医療機関が閉鎖の危機に直面している。
国際移住機関(IOM)によると、干ばつや紛争の影響でこれまで約550万人のアフガン人が住居を追われ、今年だけでも55万以上の避難民が発生した。
欧米諸国は人道支援を表明しているが、今後の支援はアフガンでどのような新政権が発足するかに大きく左右される。
一方、中国の駐アフガン大使は6日、カブールでタリバン幹部と会談し、人道支援の提供を確約した。アフガンの民放トロニュース(Tolo news)が伝えた。
中国はタリバンをアフガンの新たな統治者とは公式に認めていないが、中国の王毅国務委員兼外相は7月末にタリバンの政治部門トップ、アブドル・ガニ・バラダル師が同国を訪れた際に会談している。王毅外相はまた、タリバンに圧力を加えるのではなく、新政権を前向きな方向に導くべきとの考えを示している。
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