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焦点:停戦拒むイスラエル、内外世論の批判強まり米政権に手詰まり感

ロイター / 2023年11月7日 11時42分

民間人の死者を極力抑えるべくイスラエルに働きかけるよう求める国内外からの圧力にさらされているバイデン米政権は、イスラエルがハマスせん滅に向けて強硬姿勢を崩さないため、対応に苦慮している。写真はバイデン氏に停戦を支持するよう求める人たち。ワシントンのホワイトハウス前で2日撮影(2023年 ロイター/Leah Millis)

Simon Lewis Humeyra Pamuk Doina Chiacu

[6日 ロイター] - パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスによる10月7日の奇襲で始まったイスラエルとハマスの衝突は、ガザの死者数がついに1万人を超えた。

そうした中で、民間人の死者を極力抑えるべくイスラエルに働きかけるよう求める国内外からの圧力にさらされているバイデン米政権は、イスラエルがハマスせん滅に向けて強硬姿勢を崩さないため、対応に苦慮している。

複数の米政府高官が公的にも私的にも、食料搬入や住民移動のための一時停戦要求を含め、ガザで人命を守る必要があると強調している。しかし、米国はこうした努力が不十分だと批判を浴びており、6日には国連の主要機関トップが、ガザでの人道的停戦を呼びかけた。

ロイター/イプソスの世論調査によると、米国民の大多数がガザ市民を救うため、米政府が交渉に動くことを望んでいる。

左派のバーニー・サンダース上院議員は5日のCNNの番組で、イスラエルには悪らつなテロ組織であるハマスから身を守るためのあらゆる権利があるとしつつ「何の関係もない何千人、何万人もの罪のない男性、女性、子どもを殺す権利は、イスラエルにはないというのが私の考えだ」と述べた。

バイデン大統領に近い民主党議員や人権団体、自制を求める欧州や中東の各国政府なども、同様の見解を示している。

サンダース氏は、米国がイスラエルに対して年間38億ドルの軍事支援を行っている以上、イスラエルに対して軍事作戦の変更を要請する権利があり、変更してほしいと訴えた。

バイデン政権幹部は、イスラエル向け軍事支援に条件を付けることを拒否している。だが、政権内からも、ガザ攻撃を自制するようイスラエルを説得できない現状にいら立つ声も出ている。

ハマスによる先月7日の奇襲でイスラエルでは1400人が死亡、240人余りが人質になった。イスラエルは心理的な打撃を被り、安全保障上の脆弱性が露呈するとともに「無敵神話」は崩壊した。

複数の米政府高官によると、イスラエルの指導者はこうしたダメージの修復には強力な報復行動しかないと考えており、自制を求める声は聞きいられていない。

イスラエル側は、ハマスが民間人や人質を盾にしていて、民間人が戦闘地域から退避するのを阻んでいるとも主張している。

<民間人の被害抑制を要請>

ブリンケン国務長官の中東訪問に随行した米国務省高官の話では、軍事作戦遂行を専門とする米政府高官が民間人の犠牲を最小限に抑える方法についてイスラエルに助言する一方、米政府がイスラエルに対してガザの一部を攻撃の標的から外すよう働きかけている。

ブリンケン氏はこれまで2度にわたり中東を訪問し、人道的な一時停戦受け入れるようイスラエルを説得したが、明確な進展はない。

複数の米政府高官は、こうした呼びかけはイスラエルの戦闘方法に多少なりとも影響を与える成果があり、この数日間は空爆の回数が減っているが、民間人が爆撃される映像に「飲み込まれている」と嘆いた。

イスラエルはハマスに対する「徹底的な締め付け」を望んでおり、人道的アクセス面のいかなる譲歩も、ハマスへの圧力の緩和だと考えている。だが、国務省高官は、それでも「(援助)トラック3台は多すぎる」としていた当初の立場からは、姿勢が軟化したと説明した。

<軍事支援への条件付与せず>

サンダース氏が言及した年間38億ドルのイスラエル向け軍事支援は、オバマ政権下で成立した10年間で総額380億ドルの包括的な軍事援助を指す。

この案件は当時、米国の他国への軍事援助としては最高額だった。バイデン氏はハマスの攻撃以来、イスラエルへの140億ドルの追加支援を議会に求めている。

ハリス副大統領は先週、民間人被害の低減優先を対イスラエル支援の条件とすべきかとの質問に「イスラエルに与えている自衛のための支援に、条件を付けるつもりはない」と答えた。

米国はウクライナやサウジアラビアなど他の国への軍事支援では、実施にあたり一定の条件を付けている。

中東アナリストで元国務省職員のアーロン・デビッド・ミラー氏は、米国がイスラエル支援に条件を付けるとは考えにくく、共和党や多くの民主党議員が反対すると見ている。

<停戦と一時停止>

イスラエルとバイデン政権は、ハマスの再編成を許すことになるとして停戦要求を繰り返し拒否。バイデン政権は「人道的な一時的な戦闘停止」を支持しているが、イスラエルはこれにも反対している。

停戦を支持する米議員の中には、ハマスの根絶を支持しつつ、イスラエルの戦略は裏目に出ると危惧する声もある。

民主党の急進左派の代表格、プラミラ・ジャヤパル下院議員は「何千人ものパレスチナ人、何千人もの子どもたちを殺害し、難民キャンプを空爆すれば、たとえハマスの指導者を何人か始末したとしても、こうした状況が続けば住民が過激化し、別のハマスが生まれるだろう」と警鐘を鳴らした。

オバマ前大統領は週末に発表されたインタビューの中で、米国の責任に言及。「誰の手も汚れており、私たち全員がある程度加担していることを認めなければならない」と語った。

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