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12月ロイター企業調査:実現可能な賃上げ率、6割が「3%未満」 コスト増が逆風

ロイター / 2023年12月7日 10時4分

12月のロイター企業調査では、来年の賃上げ(定期昇給込み)はどの程であれば実現可能かとの質問に対し、6割が「3%未満」と回答した。写真は川崎市の京浜工業地帯で2016年2月撮影(2023年 ロイター/Toru Hanai)

Kentaro Sugiyama

[東京 7日 ロイター] - 12月のロイター企業調査では、来年の賃上げ(定期昇給込み)はどの程であれば実現可能かとの質問に対し、6割が「3%未満」と回答した。人手不足や物価高などを背景に賃上げに踏み切る企業も多いが、原材料・エネルギー価格の高騰によるコスト増が逆風になると指摘されている。

調査は11月21日─12月1日。調査票発送企業は501社、回答社数は240社だった。

来年どの程度の賃上げが可能か聞いたところ、「3%未満」との回答が60%と最も多く、「3%以上5%未満」が32%で続いた。連合が2024年春季生活闘争(春闘)の方針で掲げている「5%以上」を実現できるとの回答は5%にとどまった。引き上げられないとの回答は4%だった。

賃上げを実施する理由(複数回答可)は「従業員の確保・士気向上」が89%と圧倒的に多く、次いで「物価高騰への配慮」が65%だった。人手不足感が強まる中、より良い人材を集めたり人員流出を防いだりする必要性が高まっていることがうかがえる。「業績改善による利益還元」は24%と少数だった。

日銀は賃金上昇を伴う物価安定2%目標の持続的・安定的な実現を目指しており、今後の金融政策判断を占う上でも来年の企業の賃上げの動向が注目される。

日銀は最新の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」によると、24年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)上昇率が前年度比2.8%となる見通しだが、ロイター調査では約半数の企業がこれを上回る賃上げが可能と回答した。

一方で、人件費を含むコストの増加や世界経済の悪化による業績下押しなどは、リスクとして懸念されている。賃上げの逆風要因(複数回答可)は「原材料・エネルギー高騰で費用が膨らむ」が67%で最多。次いで「業績が厳しい」が49%、「今後の世界経済悪化の懸念」と「構造的コスト増となるため」がそれぞれ39%だった。

来年の為替については、ドル/円で「150円以上─155円未満」まで円安が進行するとの予想が72%で、多くの企業が155円を超える円安は見込んでいないことが分かった。

事業環境として許容できる円安水準は「150円まで」との回答が47%と半数近くを占め、「140円まで」が15%、「130円まで」が11%だった。足元のドル相場は147円台の推移で既に2割超の企業で許容を超えており、さらに一段の円安進行となれば7割の企業が苦しくなる構造が示された。

円高方向での予想では「145円以上─150円未満」が18%、「140円以上─145円未満」が23%、「135円以上─140円未満」が26%、「130円以上135円未満」が23%とばらつきがみられたが、130円を割り込むような円高の進行を予想する向きは少なかった。

(杉山健太郎 グラフィック作成:照井裕子 編集:田中志保)

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