イーライリリーのアルツハイマー薬、重大懸念なし=米FDA
ロイター / 2024年6月7日 9時49分
6月6日、米食品医薬品局(FDA)は、米製薬大手イーライリリーが開発中の早期アルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」について、臨床試験データの分析では重大な危険性は認められなかったと発表した。写真はカリフォルニア州サンディエゴの同社オフィスで2020年9月撮影(2024年 ロイター/Mike Blake)
Bhanvi Satija Julie Steenhuysen
[6日 ロイター] - 米食品医薬品局(FDA)は6日、米製薬大手イーライリリーが開発中の早期アルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」について、臨床試験データの分析では重大な危険性は認められなかったと発表した。初期のアルツハイマー患者に対する安全性には疑問も提起した。
同薬が承認されれば、エーザイと米バイオジェンが共同開発した「レケンビ」と競合する。レケンビは昨年7月に承認された。
二つの薬はいずれも初期のアルツハイマー病患者の脳に蓄積した異常タンパク質「ベータアミロイド」を除去する抗体。
FDAの外部専門家からなる諮問委員会が10日の会合でFDA職員の意見を検討し、ドナネマブの効果がリスクを上回るかどうかを判断する。
大規模試験で、ドナネマブを投与した患者群で、記憶と思考の問題の進行を29%遅らせた。レケンビではこの値は27%だった。
試験に参加した患者の24%に脳浮腫が、31%に脳出血が発生した。大半が軽度だった。重篤な症例は脳浮腫が1.5%、脳出血が0.4%だった。
レケンビの後期試験では、被験者の12.6%に脳浮腫、17.3%に脳出血が認められた。
ドナネマブの試験参加者は、脳の画像診断でベータアミロイドが除去されたことが確認されれば直ちに治療をやめることができたが、FDAは治療効果がどれくらい続くかについて疑問を投げかけた。
FDA職員は、ドナネマブが承認された場合、処方箋ラベルで脳浮腫と脳出血の副作用などいくつかのリスクとその緩和方策が強調されるとの見方を示した。また承認後の要件として、現在進行中の試験で死亡者が出た場合の迅速な報告や副作用のデータ収集などが求められる可能性があるという。
少なくともアナリスト2人が、同薬の承認を予想している。
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