カナダ中銀、緩和サイクルは慎重さ不可欠 インフレのリスク大
ロイター / 2024年6月7日 12時25分
6月6日、5日に約4年ぶりの利下げに踏み切ったカナダ銀行(中央銀行)は、7月の次回会合で追加利下げを決めるとの見方が広がっている。写真は同行。カナダのオタワで2010年6月撮影(2024 ロイター/Chris Wattie)
Promit Mukherjee
[オタワ 6日 ロイター] - 5日に約4年ぶりの利下げに踏み切ったカナダ銀行(中央銀行)は、7月の次回会合で追加利下げを決めるとの見方が広がっている。しかしエコノミストは、根強いインフレ圧力がもたらすリスクは大きく、中銀は極めて慎重に緩和サイクルを進め、かなりゆっくりとしたパス(経路)をたどる必要があると指摘している。
カナダドルは対米貿易に大きく左右される。また、カナダの住宅市場は強い需要を背景に価格急騰の恐れがつきまとい、賃金は消費者物価指数(CPI)を上回るペースで上昇している。専門家は、こうした要因があるため、利下げがインフレ圧力をあおる恐れがあり、利下げを急げばインフレ抑制の成果が台無しになりかねないと警鐘を鳴らしている。
独立系シンクタンク、カンファレンス・ボード・オブ・カナダ(CBOC)のチーフエコノミスト、ペドロ・アントゥネス氏は「中銀はインフレを完全に抑えられるかどうかを依然として強く懸念しており、今後も懸念すべきだ」と述べた。
最も懸念される要因の1つは米連邦準備理事会(FRB)の動向だ。カナダ中銀が利下げする一方でFRBが金利を据え置けば、カナダドル相場が下落、カナダは輸入物価が上昇し、インフレが高まる。アントゥネス氏は「FRBの立ち位置もあり、カナダの利下げは非常に緩やかなペースになるだろう」と予想した。
カナダ中銀が警戒すべきもう1つの要因は、金利低下により住宅需要が急増する可能性だと、アレクサンダー・エコノミック・ビューズのクレイグ・アレクサンダー社長は指摘する。
カナダの住宅需要は、主に高金利により抑制されてきたが、それでも住宅建設を急ぐ必要がある点に変わりはない。カナダ・ロイヤル銀行は、需要を満たすためには住宅在庫を2030年まで毎年平均31万5000戸ほど増やす必要があると分析している。
賃金もインフレを再加熱させかねない要因に挙げられている。正規従業員の平均時給の伸び率は4.8%。一方でCPIの上昇率は4月に2.7%に鈍化した。
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