市場不安定なら「利上げない」、現行水準で緩和続ける必要=内田日銀副総裁
ロイター / 2024年8月7日 11時30分
8月7日、日銀の内田真一副総裁(写真)は函館市で開いた金融経済懇談会で「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」と述べた。写真は都内で昨年2月撮影(2024 ロイター/Issei Kato)
Takaya Yamaguchi
[函館市(北海道) 7日 ロイター] - 日銀の内田真一副総裁は7日、金融資本市場が不安定な状況で「利上げをすることはない」と明言した。欧米の利上げプロセスと異なり、一定のペースで利上げしないと政策対応が後手に回る状況ではない、と説明。市場が不安定に推移すれば「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要がある」と語った。
金融経済懇談会(函館市)でのあいさつ内容を日銀が公表した。
内田副総裁は、米景気減速懸念をきっかけに「世界的に急速なドル安の動きと株価の下落が生じている」とし、「とくに円/ドル相場は、これまで円安方向で大きなポジションが積み上がっていたことの巻き戻しがあり、変動幅が大きい。株価は円安の修正もあり、他国に比べても下落幅が大きい」との認識を示した。
株価の変動については「企業の投資行動や資産効果などを通じた個人消費、経済・物価の見通しに影響するものであり、政策運営上重要な要素」と指摘した。内外の金融資本市場の動きを「極めて高い緊張感を持って注視し、政策運営において適切に対応していく」との考えも述べた。
金融経済懇談会では、米経済の先行きについて「私自身はソフトランディングする可能性が高い」との私見も述べた。
日本の株価が上昇してきた背景に関しては「企業の収益力の強化がある」と説明。「(日米)両国の経済のファンダメンタルズが大きく変わったとは思えない」との認識を示した。
内田副総裁は懇談で、景気は緩やかに回復し、「先行きも潜在成長率を上回る成長を続ける」との見方も示し、「経済や物価が見通しに沿って展開していくのであれば、それに応じて金融緩和の度合いを調整していくことが適切」と語った。
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