ソフトバンクG、3四半期ぶり最終赤字 投資損益改善も円安が下押し
ロイター / 2024年8月7日 18時1分
8月7日 ソフトバンクグループが7日に発表した2024年4―6月期の連結最終損益(国際会計基準)は、1742億円の損失(前年同期4776億円の損失)だった。写真は2021年2月、都内で撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Miho Uranaka
[東京 7日 ロイター] - ソフトバンクグループが7日に発表した2024年4―6月期の連結決算(国際会計基準)は、1742億円の純損失(前年同期4776億円の損失)だった。3四半期ぶりの赤字に転落し、市場予測を下回った。同四半期中は株式市場が好調で、投資損益が改善する一方、主に円安がマイナスに作用した。同時に自己株取得も発表した。
第1・四半期(4―6月期)は5597億円の投資利益を計上。傘下の英半導体設計大手アームの業績が堅調、持ち株会社の投資事業とAI(人工知能)関連企業に投資する傘下のビジョン・ファンド(VF)のパフォーマンスもプラスになるなどし、前年同期に6990億円の赤字だった投資損益は黒字に転換した。
一方、ドル建て負債が米ドル建て現預金・貸付金を上回る中、円安による為替差損として4439億円を計上したことが響いた。足元の為替は円高方向に振れており、会見した後藤芳光・最高財務責任者(CFO)は、15円の円高で損益に6000億円のプラス効果があると説明した。
4─6月期は半導体関連を中心に世界的に株高だったが、足元は調整しており、日経平均株価も乱高下している。ソフトバンクGが重視している保有株式価値から純有利子負債を差し引いた時価純資産(NAV)は、6月末の35.3兆円から8月6日時点で24.9兆円まで減少した。
後藤CFOは、保有株式に対する純有利子負債の割合を示す負債カバー率(LTV)は10.9%、手元流動性は4.3兆円を確保しているとし、「財務健全性は不変」と述べた。「今後も市場が大きく動いていく可能性が十分にあるが、目指す事業・投資モデルに(向かって)ぶれることなく進む」と述べた。
同社は人類の知能の1万倍の知能を持つ「ASI(人工超知能)」時代の到来を想定して投資を進めており、7月には英半導体スタートアップのグラフコアを完全子会社化した。後藤CFOは、株式市場の下落局面は「全体感で言えば投資の好機」と語った。
IBESがまとめたアナリスト4人のコンセンサス予想では、4─6月期連結純利益の平均値は1047億円だった。VFの4─6月期の投資損益は19億円の黒字だった。1─3月期は575億円の赤字だった。
ソフトバンクGは通期の業績見通しを開示していない。IBESがまとめたアナリスト13人による25年3月期の連結純損益予想の平均値は3580億円の黒字。
決算の開示に合わせて最大5000億円の自己株式の取得も発表した。後藤CFOによると、NAVのディスカウントのレベルや今後の投資などを総合的に判断したという。「環境が大きく変動するときに守りの姿勢をある程度示す必要もある」とも話した。
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