アングル:共和も民主も照準、米大統領選の鍵は無党派層

ロイター / 2019年9月8日 8時40分

 8月30日、無党派層にアピールするため、家々を訪問する民主党のボランティア。 8月24日、フロリダ州セントピーターズバーグで撮影(2019年 ロイター/Brian Snyder)

Letitia Stein

[セントピーターズバーグ(米フロリダ州) 30日 ロイター] - 郵便配達の仕事を退職したフロリダ州のエレン・カーシュナーさん(61)は、トランプ米大統領の熱心な支持者というわけではない。だが、来年の大統領選で民主党候補に投票するかというと、それも心が定まらない。

米国の有権者全体では彼女のような無党派層は珍しい。大統領選を決定づける主戦場となりそうな州では、共和・民主両党が重要な標的として早くも目を光らせている。

民主党は既に、カーシュナーさんのような有権者を探そうと家々を訪問し始めた。同党の代表的なスーパーPAC(政治活動特別委員会)は、毎週45万ドルを投じて、トランプ氏のうそを暴くデジタル広告を展開し、彼女のような無党派層に訴え掛けようとしている。共和党側はデータを駆使する選挙活動で、こうした票の獲得を狙う。

アナリストのローズ・クック氏のニュースレターによると、特定主要政党を支持しないと表明する有権者の割合は、全米では2000年から6%ポイント増えて昨年の中間選挙では28%となった。

しかしピュー・リサーチ・センターによると、無党派と区分される米国民のうち、本当にどの党寄りでもない人の割合は19%にとどまる。

「説得できそうな比較的少数の票に多額の資金が次ぎ込まれようとしている」と、クック氏は語った。国民の分断を狙うトランプ氏の政策を踏まえれば、意見を決めていない有権者はいつもより少ないはずという。

カーシュナーさんが住むのは、日差しがさんさんと降り注ぐピネラス郡。選挙のたびに共和党支持と民主党支持の間を揺れ動く激戦州「スイング・ステート」で最大のフロリダ州で、その中でも最大規模のカウンティー(郡)、いわゆる「スイング・カウンティー」だ。

同郡の212番投票区は、労働者階級や中間層が住む牧場様式の家が並ぶ。2016年の大統領選では民主党のクリントン候補とトランプ氏の間で票が真っ二つに割れた。得票はどちらも335票だった。

カーシュナーさんは、論点ごとに支持する政党がよく変わると、自分の投票行動について説明する。例えば銃規制の強化には賛成だが、全面禁止には反対。不法移民が問題だというトランプ氏の主張には同意するが、メキシコ国境で親と子供を引き離す政権のやり方には賛成できない。

前回2016年の大統領選ではトランプ氏に投票し、来年も同氏を支持する方向に傾いているが、だれが民主党候補になるか分かるまで態度を決めないつもりだ。

「環境問題については彼(トランプ氏)は良くない。でもビジネスとなると、そう悪くない」

フロリダ州に移り住んでほぼ40年、いまだにニューヨークなまりが強く残るカーシュナーさんは、かつてオバマ前大統領の支持者だったが、左傾化傾向を強める今の民主党は信用できない。

「これもあげます、あれもあげます」。不法移民への社会保障や医療給付拡大といった公約を笑い飛ばした。

<無党派層が決定打>

ロイター/イプソスの世論調査によると、無党派層は前回大統領選で主要政党から離れ、第3の候補を支持する人が倍増した。

トランプ氏はフロリダ州などのスイング・ステートで、わずか1%かそれ未満の得票差で勝利を確保した。どの投票層の動きが決定打になったかの問題は今も論議を呼んでいるが、無党派層は今回も鍵を握るとみられている。

16年の大統領選で、共和党は無党派層の票獲得で民主党に7%ポイントの差を付けた。共和党側は今回も勝てると主張している。論拠は党全国委員会(RNC)のデータで、一例を挙げると、カナダとメキシコに対するトランプ氏の通商政策は、ピネラス郡およびフロリダ州全体の無党派層に支持されている。

RNCのデータでは、無党派層は民主党の国民皆保険制度の提案に心を動かされておらず、不法移民に無料で医療を提供する案にも反対している。

トランプ陣営の広報担当者リック・ゴーカ氏は「だれが無党派層を説得できるかに、すべては行きつく。それが選挙に勝つ方法だ」と話す。

民主党陣営はトランプ氏の優位を切り崩そうと躍起になっている。リベラル系のスーパーPACである「プライオリティーズUSA」は、フロリダ州などの激戦州で早くからデジタル広告を打ち、トランプ政権下の経済成長の恩恵は全国民に行き渡っていないと訴えている。

同団体の調査では、フロリダ州の無党派層は民主党支持が45%で、共和党支持の28%を上回っている。4人に1人は、説得次第で両党どちらの候補にも投票する可能性があるということだ。

同団体のガイ・セシル会長は先月記者団に、こうした有権者の半分でも獲得できれば「決定打」になり得ると語った。

ピネラス郡の民主党員たちは既に、同党と考え方が近いとみられる無党派層や、定期的には投票所に足を運んでこなった人たちへの戸別訪問を始めた。

ある蒸し暑い土曜日、アン・フェランテゴーシュ氏ともう1人のボランティアスタッフは、住宅地の曲がりくねった道を車で回り、無党派層から一番の関心事を聞き出そうと車を乗り降りして3時間を費やした。

ロイター/イプソスの世論調査によると、全米レベルで無党派層が最も関心を持つのは医療と雇用だった。民主党員にとっての優先課題はこれに最も近かったが、彼らが最優先としたのは気候変動問題。共和党員の最優先課題は国境警備と、違法移民に対する政府出資サービスの問題だ。

フェランテゴーシュ氏は最終的に6人ほどの有権者と話ができたが、全員が民主党員だった。リストにあった無党派の有権者は誰も訪問に応じてくれず、手書きのメッセージを添えた民主党のパンフレットを残して引き揚げてきた。

「チョコレートの箱みたいなものだ。ドアの呼び鈴を押すまで、何を得られるか分からない」

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