英政府、対EU通商交渉の成功望む兆しなし=通商担当欧州委員
ロイター / 2020年5月8日 10時4分
5月7日、欧州連合(EU)のホーガン欧州委員(写真)は、英国が来週再開されるEUとの通商交渉の成功を望む兆しは見られず、英国はEU離脱後のいかなる悪影響も新型コロナウイルス感染拡大による経済ショックのせいにしようとしていると指摘した。2019年9月、ベルギーのブリュッセルで撮影(2020年 ロイター/Yves Herman)
[ダブリン 7日 ロイター] - 欧州連合(EU)のホーガン欧州委員(通商担当)は7日、英国が来週再開されるEUとの通商交渉の成功を望む兆しは見られず、英国はEU離脱後のいかなる悪影響も新型コロナウイルス感染拡大による経済ショックのせいにしようとしていると指摘した。
EU外交官や当局者らによると、英国のEU離脱後の移行期間が終わる2021年以降の新たな通商協定の締結に向けた協議は先月再開されたものの、すぐに行き詰まったもよう。
争点は主に、対等な競争の場、公正な競争の保証、漁業権の3つ。今のところ双方とも妥協点を見いだせておらず、来週11日の協議は再び険悪な雰囲気で始まりそうだ。
ホーガン委員はアイルランド公共放送RTEに対し「交渉における課題は急を要し、重大であるにもかかわらず、英国との離脱交渉は遅々として進んでいない」と発言。「英国側が成功する計画を用意して交渉に向かう兆しは見られない」と述べた。
同氏はまた、「英国の政治家と政府は、EU離脱による悪影響をすべて新型コロナのせいにすると決めたようだ。英国はすべてを新型コロナのせいにできなくなる2021年までの協議継続を望まないと思われる」と語った。
これに対し、ジョンソン英首相の報道官はホーガン委員の指摘を否定。「英国は5月11日からの次回交渉で建設的な協議を楽しみにしている」と述べた。
報道官は「英国はEUとの協議を続ける用意はあるが、それによって特定分野におけるEUの提案に合意する可能性が高まるわけではない」と説明。EUの提案は、英国が独立国家としてEUを離脱した事実を考慮していないとも指摘した。
移行期間は1─2年延長することが可能だが、英国側が6月末までに要請する必要がある。6月末までに予定されている残りの交渉は5月11日および6月1日から始まる1週間の2回のみ。
ホーガン委員は、来週の協議で変化があることを期待するとし、そうなれば、迅速に協議が進展しない理由はないと述べた。ただ、協議が進展しない場合には、新型コロナに伴う経済封鎖とEU離脱による混乱が重なり、今年の英経済は「かなりの打撃」を被ることになると警告した。
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