英アストラゼネカと米ギリアド、合併巡り積極的に協議せず=報道
ロイター / 2020年6月9日 7時50分
英製薬大手アストラゼネカと米同業ギリアド・サイエンシズは合併に関して積極的に協議していないと、CNBCが8日、関係筋の話として報じた。カリフォルニア州オーシャンサイドで4月撮影(2019年 ロイター/Mike Blake)
[8日 ロイター] - 英製薬大手アストラゼネカ
米ブルームバーグ・ニュースは7日、アストラゼネカがギリアドに対し、合併の可能性を打診したと報道。これを受け、ギリアドの株価は8日序盤の米国株式市場で約3%高となったが、CNBCの報道を受け上げ幅を縮小し、0.29%高で終了した。
両社は、新型コロナウイルス感染症のワクチンや治療薬の開発で他社に先行する。各国は新型コロナのワクチンや治療薬で主導権を争っているため、アナリストらは両社の合併は政治的にハードルが高く、実現の見込みはないと指摘する。
ギリアドの抗ウイルス薬「レムデシビル」は、米国を含む複数の国で新型コロナ患者への緊急使用が承認されている。ブルームバーグの報道によると、同社は同業者との経営統合に関心がないという。
SVBリーリンクのアナリスト、ジェフリー・ポージェズ氏は「ギリアドの所有者が、米国以外に移るのを認められたらかなり驚きだ」と指摘。「特に医療に関しては、国内の研究開発と生産能力が国益にとってかつてないほど重要になっている」とした。
シティのアナリスト、アンドリュー・バウム氏は、新型コロナウイルス感染症の治療薬開発に関わる米製薬大手の買収は米政府が阻止する可能性があると語った。
ロンドン市場のアストラゼネカ株は2.7%安で終了。投資家は買収額の大きさに加え、時価総額の合計が約2320億ドル(5日終値基準)にも上る両社の合併の妥当性を疑問視している。
グッゲンハイムのアナリスト、シーマス・フェルナンデス氏は「このように厄介で、われわれに言わせると価値を破壊する合併を検討しようとする姿勢さえも警戒感を誘う」と分析した。
アストラゼネカは、英オックスフォード大学と提携して新型コロナのワクチンを開発している。
*内容を追加しました。
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