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米国で警察改革へ圧力高まる、黒人死亡受け 民主党は法案公表

ロイター / 2020年6月9日 8時30分

米民主党議員は8日、黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官による暴行で死亡した事件を受け、警察官による暴力と人種差別に対抗する法案を公表した(2019年 ロイター/JONATHAN ERNST)

[ヒューストン 8日 ロイター] - 米国で、黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官による暴行で死亡した事件を受け警察改革を求める圧力が高まる中、米民主党議員は8日、警察官による暴力と人種差別に対抗する法案を公表した。

この日は、フロイドさんの遺体が出身地テキサス州ヒューストンの教会に到着し、多くの人が追悼に訪れた。

フロイドさんの事件を受けた抗議デモは全米に広がり、警察の改革を求める声が高まっている。

ヒューストンの教会を訪れた地元住民の男性は「警察による殺人を終わらせたい。改革を求める」と訴えた。

11月の米大統領選で民主党候補指名を確実にしたバイデン前副大統領は、ヒューストンでフロイドさんの遺族と1時間以上にわたり面会した。遺族の弁護士によると、バイデン氏は遺族の声に耳を傾け、痛みや悲しみを分かち合ったという。

民主党が公表した134ページに及ぶ法案には、警察の違法行為に対する損害賠償請求の解禁や首を絞める行為の禁止、連邦警察官などへのボディーカメラの着用義務付け、殺傷力の高い武器の使用制限、違法行為が見られた警察署への独立機関による調査の円滑化などが含まれる。

連邦議会黒人幹部会(CBC)会長のカレン・バス下院議員は記者会見で、「人を殺す力を持つ専門的職業には高度な訓練が必要であり、国民への説明責任を負うべきだ」と述べた。

今回の法案は、要求が高まっている警察への資金提供の削減や廃止を求めてはいないが、資金配分に関する優先順位の変更を要請。カマラ・ハリス上院議員は「安全な地域社会の確保と警察官の雇用拡大とを混同していた。安全で健全な地域社会を実現する真の方法は、地域社会に投資することだ」と語った。

民主党議員は法案を7月4日までに下院に提出したい考え。上院での受け止めは不明だが、民主党側は抗議運動や国民からの支持が追い風になると見ている。

民主党のこうした動きに対し、トランプ大統領は「法と秩序。急進左派の民主党は正気をなくした」とツイッターに投稿した。

その後、ホワイトハウスのマクナニー報道官は記者会見で、トランプ大統領は警察組織への資金提供の停止を求める声にがくぜんとしているとし、フロイドさんの暴行死事件に対し、複数の対応策を検討していると表明。ただ、具体的には明らかにしなかった。

バイデン前副大統領の選挙陣営は、無防備の黒人に対する警察による暴力事件への対応として、警察組織への資金配分を停止する案をバイデン氏は支持していないと明らかにした。

トランプ米大統領は8日、警察への資金配分を維持すると表明した。トランプ氏はホワイトハウスで連邦、州、地方の警察関係者らと会合し、「資金打ち切りはない。米国の警察組織の解体もない」と言明した。

ミネソタ州の地元紙スター・トリビューンによると、フロイドさんの事件を巡り、第2級殺人容疑などで訴追された元警察官のデレク・ショビン容疑者(44)に対する保釈金が25万ドル引き上げられ、125万ドルに設定された。

*内容を追加しました。

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