ECB、来年中は高金利の維持必要 IMFが指摘
ロイター / 2023年11月8日 14時13分
11月8日、国際通貨基金(IMF)は、ユーロ圏では急速な賃金上昇でインフレ率が長期間高止まりする可能性があり、欧州中央銀行(ECB)はインフレ圧力を抑制するため、来年いっぱい中銀預金金利を過去最高の4%かそれに近い水準に維持すべきだと指摘した。フランクフルトで2020年撮影(2023年 ロイター/Ralph Orlowski)
[フランクフルト 8日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は8日、ユーロ圏では急速な賃金上昇でインフレ率が長期間高止まりする可能性があり、欧州中央銀行(ECB)はインフレ圧力を抑制するため、来年いっぱい中銀預金金利を過去最高の4%かそれに近い水準に維持すべきだと指摘した。
IMFのアルフレッド・カマー欧州局長は会見で「金融政策は適切に引き締まっている。来年もそうあるべきだ」とし、「(中銀預金金利は)来年を通じて現行水準か、それに近い水準に維持されるべきだ」と主張。
利下げ時期が早すぎれば、さらに負担の大きい政策引き締めが必要になるとし、「緩めすぎよりは、引き締めすぎの方がコストが小さい」と述べた。
IMFはインフレ率が2025年に目標に戻ると予想しているが、極めてタイトな労働市場を背景に目標達成が26年にずれ込む可能性があるとも警告している。
失業率はすでに記録的低水準。労働市場に残された緩みは現在の推定値より少ない可能性があり、賃金インフレが進み、消費者物価に影響が及びかねないという。
実質賃金がインフレ率に追いつくにはまだ時間がかかるため、これもインフレ圧力の持続につながり得るとしている。
IMFは報告書で「リスクは引き続き、インフレがさらに持続する方向に偏っている」とし、「不利な仮定の下ではインフレ目標達成が26年までずれ込む可能性がある」と述べた。
カマー氏は、パレスチナ自治区ガザの紛争で国際エネルギー価格が上昇しており、これがさらなる物価の上振れリスクになっていると指摘。
ただ、今四半期の経済成長率は予想をやや下回っており、インフレ圧力を抑制する可能性もあるという。
同氏は、経済成長率は総じて予想に沿った水準で、ソフトランディングがIMFのメインシナリオであることに変わりはないとも発言した。
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