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焦点:英労働党圧勝、市場は慎重姿勢崩さず 政権安定には期待感

ロイター / 2024年7月8日 15時18分

市場関係者は4日の英総選挙で労働党が圧勝したことをとりあえず好感しているが、新政権の経済政策を見極めたいとして長期投資には慎重姿勢を崩していない。写真はスターマー新首相。ロンドンで5日撮影(2024年 ロイター/Hannah McKay)

Naomi Rovnick

[ロンドン 5日 ロイター] - 市場関係者は4日の英総選挙で労働党が圧勝したことをとりあえず好感しているが、新政権の経済政策を見極めたいとして長期投資には慎重姿勢を崩していない。

ポンドは選挙の大勢が判明した5日に小幅上昇。FTSE250種株価指数は2022年4月以来の高値を付けた。

ただ、英国では欧州連合(EU)離脱が決まった16年の国民投票や22年のトラス前首相のミニ予算などを受けて市場が混乱した経緯があり、市場関係者は新政権が長期的な信頼を取り戻す必要があると指摘している。

労働党は老朽化したインフラの立て直しや住宅不足の問題に取り組む意向を示しているが、国民の税負担が過去最悪の水準に近づいているため歳出は抑制する方針だ。

それでも、公的債務残高は国内総生産(GDP)比100%を超える見通しで、格付け会社や金融機関が神経をとがらせている。

資産運用会社マールボロのシェルドン・マクドナルド最高投資責任者は「(新政権は)経済成長と公的債務の間で綱渡りを迫られる。国債が増発されるのか、増発が許されるほど経済が成長できるのかを見極める必要がある」と指摘。英国株の見通しは中立だが、利下げが予想されるため、英国債の見通しはややポジティブだと述べた。  

保守党政権では首相の交代が相次いだため、市場では政権の安定度が今後高まり、税制・貿易政策の予測可能性も増すとの期待が浮上している。

資産運用会社アルテミスの投資ソリューション責任者、トビー・ギブ氏は「(選挙があれば)不透明感が後退し、海外投資家がこれまでより安心して投資できるようになる」と語った。

明るい兆しの一つとして、ポンド相場は貿易加重ベースでEU離脱の是非を問う国民投票前の水準に戻った。

ギブ氏はポンド高が続くと予想し、英国株に強気の姿勢を示した。

ただ、慎重な見方も根強い。

ジャナス・ヘンダーソンの欧州株式ポートフォリオマネジャー、トム・オハラ氏は「政治が安定すれば全体として漸進的な改善が期待できることは分かるが、どのような変化が起きるのかが分からない」とし、「どの企業がどの政策から恩恵を受けるかなど、具体的な情報が必要だ」と述べた。

ホークスモア・インベストメント・マネジメントのファンドマネージャー、ベン・マッキー氏は「英国の成長」という投資テーマは受け入れ難いとし「国内の株式市場と経済は大きな構造的問題に直面している」と分析。英国株ファンドからの資金流出は「恐ろしいほどネガティブだ」と述べた。

英国の企業投資は経済協力開発機構(OECD)加盟31カ国中28位。海外直接投資や企業の生産性は伸び悩んでいる。

助言会社のオンドラによると、国内年金基金・保険会社の運用資産に占める英国株の比率は2000年の50%から約4%に減った。

ただ、UBSの欧州株式戦略責任者ジェリー・ファウラー氏は、米国やアジアの大手投資家から数年ぶりに英国に関する問い合わせが来ていると指摘。

「関心は広がっている。だが、そうした熱意が目先、非常に良好なパフォーマンスにつながる可能性は低い。多くの資金はまだ動いていないと思う」と述べた。

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