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焦点:日銀、9日から債券市場会合 減額幅・ペースなど関係者の見方確認

ロイター / 2024年7月8日 17時56分

 日銀は7月9日からの債券市場参加者会合で、国債買い入れ減額の具体策について意見を聞く。都内の日銀本店で2023年9月撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)

Takahiko Wada

[東京 8日 ロイター] - 日銀は9日からの債券市場参加者会合で、国債買い入れ減額の具体策について意見を聞く。日銀内では減額は段階的に行い、一定の予見可能性を維持すべきとの声が聞かれるが、会合はそのペースや規模について市場の見方を確認する意味合いを持つ。議論を踏まえ、最終的に市場の予想通りの減額ペースとなるか。次回決定会合まで日銀ボードメンバーの発信機会は予定されず、市場の警戒は続きそうだ。

<減額ペースは緩やかか、「予見可能性」重視の声>

債券市場参加者会合は銀行、証券、バイサイドの3グループに分けて9日から2日間、国債買い入れの減額幅や減額のペース、国債買い入れのあり方について意見を聞く。会合に先立ち、日銀は参加する全ての金融機関を対象にアンケート調査するなど準備を進めてきた。

植田和男総裁は国債買い入れ減額は「相応の規模になる」と重ねて強調してきた。日銀では、例えば8月に大幅に減額して2年間据え置きとするようなパターンではなく、2年間を通じて段階的に減額していくのが適切だとの指摘が出ている。

ただ、市場における長期金利の形成をより円滑にする観点から減額ペースは緩やかなものとなりそうで、2年後に買い入れ額がゼロになっている可能性は低い。日銀は2年間の計画を終えた時点での状況を踏まえ、減額ペースをどうするか再検討する可能性がある。

日銀では、予見可能性をより重視し機械的に買い入れ額を減らしていくべきだとの声が出ている。国債買い入れはもはや金融政策の手段でなく、毎回の買い入れ額に注目が向かう現状を転換していきたいとの思惑が背後にある。同様の観点から、現状、月間の買い入れ予定額に設けている上下1兆円程度の幅を縮小する可能性も出ている。

一方で、長期金利の急上昇時には買い入れ額を機動的に増やすなど、柔軟な対応の余地を残すことが引き続き重要だとの見方も根強い。

<減額計画の織り込み、市場の見方は分かれる>

6月の金融政策決定会合で国債買い入れの減額方針を決定して以降、長期金利に急上昇はみられておらず、市場が減額計画を織り込みつつあるとの見方もある。

SBI新生銀行の森翔太郎シニアエコノミストは「減額計画に対する市場の見方はある程度収れんしており、かつ、慎重な見方がコンセンサスとなっている印象だ」と指摘する。月間買い入れ額は1年目が4―5兆円、2年目が3―4兆円が現在の市場コンセンサスと考えられ「この程度の緩やかな減額ペースであれば、2年後の日銀の国債保有割合の低下幅は1桁台にとどまるとみられ、ストック効果の減衰による長期金利上昇圧力は限定的ではないか」と話す。

一方で、国債買い入れの減額を巡る市場の見方は「ばらつきが大きいままだ」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストはみている。国債市場の安定と機能度改善のどちらを重視するかで見方が分かれているといい、決定会合前は「相応な規模」の減額や追加利上げに対する警戒感が強く、債券の上値は重いと見込む。

ロイターが6月下旬に主要な金融機関を対象に実施した調査では、国債買い入れは月額で現在の約6兆円から、1年目は4.65兆円、2年目は3.55兆円に減る予想が示された。減額のペースについては「四半期ごと」とする回答が最も多かった。

<市場の混乱回避へ、求められる日銀の発信力>

3月の決定会合以降、日銀の国債買い入れ減額は市場の不透明要因となっており、金融機関からは減額計画を「早く決めてほしい」(銀行関係者)との声が出ている。また「新規に国債を購入するにあたっては日銀の利上げがいつになるのかが重要であり、QT(量的引き締め)の動向は関係ない」(金融機関)といった指摘もある。

イールドカーブ・コントロール(YCC)の解除など大規模緩和の終了にあたっては、3月の決定に先立つ2月に内田真一副総裁が奈良市での金融経済懇談会で大規模緩和解除後のイメージを具体的に明らかにしたことが、正式決定時の市場の動揺回避につながった面がある。

追加利上げと国債買い入れ減額計画のダブル決定の可能性が市場で意識される中、7月30─31日の金融政策決定会合までの間に日銀のボードメンバーが出席する金融経済懇談会や金融政策に言及する講演は現時点で予定されていない。

SBI新生銀の森氏は「仮に市場コンセンサスを大幅に上回る減額規模となる場合などは、市場への影響を最小限に抑えるべく、(減額計画の)予見可能性を高める情報発信が求められる」と話している。

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