ヒズボラ、テルアビブ標的に報復か イランより大規模に=専門家
ロイター / 2024年8月9日 2時14分
イスラエルに対する報復攻撃の懸念が高まる中、イスラエル紙ハアレツの軍事専門記者は、イラン支援下にあるレバノンの武装組織ヒズボラによる報復はイランよりも大規模なものになり、テルアビブのイスラエル国防省などが標的になる可能性があるとの見方を示した。写真はレバノンの親イラン武装組織ヒズボラの指導者ナスララ師。6日撮影(2024年 ロイター/Alkis Konstantinidis)
Ayako Hirokami
[8日 ロイター] - イスラエルに対する報復攻撃の懸念が高まる中、イスラエル紙ハアレツの軍事専門記者は、イラン支援下にあるレバノンの武装組織ヒズボラによる報復はイランよりも大規模なものになり、テルアビブのイスラエル国防省などが標的になる可能性があるとの見方を示した。
7月30日、イスラエル軍がレバノンの首都ベイルートを空爆し、ヒズボラのフアド・シュクル司令官が死亡。翌31日にイランの首都テヘランでイスラム組織ハマスのハニヤ最高指導者が死亡した。
ハアレツのシニア軍事コレスポンデント、アモス・ハレル氏はカーネギー国際平和基金が7日に開いたオンライン対談で、シュクル司令官が殺害された数時間後にハニヤ氏が死亡した事態を受け、中東全体が新たな方向に向かったと述べた。
想定されるイランによる報復について、テヘランで犠牲になったのはパレスチナ人で、イラン人ではなかったことを踏まえると、4月14日のイスラエルへの報復攻撃と同程度か、それ以下になると予想。一方、殺害されたヒズボラのシュクル司令官はヒズボラの重鎮で、指導者のナスララ師と親しかったことを踏まえると、ヒズボラはイランよりも厳しく対応するとの見方を示した。
その上で、ヒズボラは全面戦争を回避するために人口が集中する地区への攻撃は避け、軍事施設を標的にするとの見通しを示した。イスラエルが首都ベイルートを攻撃したため、報復の対象はテルアビブになる可能性があるとし、テルアビブのハキリヤにあるイスラエル国防省のほか、北部グリロットの軍事施設などを想定される標的として挙げた。
イランから発射された弾道ミサイルがイスラエルに着弾するまで約12分かかるのに対し、レバノンから発射されたロケット弾、もしくはミサイルは1分半から2分半でテルアビブに着弾するため、ヒズボラが2、3時間という短時間に集中して攻撃を行えば、「壊滅的」な被害が出る恐れがあるとした。
ヒズボラが過去10カ月で約400人の戦闘員を失ったことを踏まえ、ナスララ師は戦闘停止を願っているとの見方も一部で出ているとしながらも、現在の状況は4月時点と比べはるかに深刻で、イスラエルは「かなり大きな」動きに備えていると述べた。
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