アングル:TikTok禁止新法19日発効へ、米国での影響は
ロイター / 2025年1月8日 15時32分
1月6日、米連邦最高裁は10日に中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国内での利用禁止につながる新法についての口頭弁論を開催する。写真は米中の旗とティックトックのロゴのイメージ。2024年4月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)
Sheila Dang
[6日 ロイター] - 米連邦最高裁は10日、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国内での利用禁止につながる新法についての口頭弁論を開催する。
バイデン大統領が署名して成立した新法は、ティックトック親会社の中国企業の字節跳動(バイトダンス)が米国での事業を1月19日までに売却しない場合、米国でのサービス停止を求めるもの。最高裁はティックトックとバイトダンスから意見を聴取する。
ティックトック側は最高裁に、訴訟期間中の新法発効差し止め命令を請求したが、今のところ認められていない。
このまま19日に新法が発効した場合に関係各方面がどのような影響を受けるかを以下にまとめた。
◎ダウンロード不能に
ティックトックの新規ユーザーはアプリストアからアプリのダウンロードが不可能になり、既存ユーザーはアプリ更新ができなくなる。新法は、いかなる企業もティックトックのアプリのダウンロードや保守管理を許容してはならないと定めているためだ。
米下院特別委員会は昨年12月13日付書簡で、米アプリストア運営大手のアップルとグーグルに対して1月19日以降、ティックトックをアプリストアから排除する態勢を整えなければならないと伝えた。
クラウドサービスのオラクルは、ティックトックとの提携業務が順調に継続できなくなる可能性がある。オラクルは自社サーバーに米国のティックトック利用者のデータを保存し、アプリのソースコードの点検や、アプリストアへの配信に携わっている。
◎クリエーターには逆風
1億7000万人とされる米国のティックトック利用者は、既にスマートフォンにダウンロードしているので引き続き利用はできる。ただしソフトウエアやセキュリティーが更新されないので、次第に使えなくなっていくだろう。
一部利用者は、新法の規制をすり抜ける手段として、アクセス地点を隠すための仮想プライベート・ネットワーク(VPN)の使い方を紹介する動画をティックトックに投稿し始めた。
ティックトックのフォロー数に基づくビジネスを展開するコンテンツクリエーターらは、最悪の事態を覚悟している。フォロワー数が410万人で、生理用品ブランドを立ち上げているナディア・オカモトさんは、ティックトックの動画を通じて事業を拡大できたと説明し、新法が発効すれば自分たちのような零細事業者はマーケティング支出がかさみ、コストが増大してしまうと嘆く。「大変なストレスだ。ティックトックが使えなくても何とかなるが、大打撃を受ける」と語った。
◎従業員の運命
米国で働くティックトック従業員7000人は、まだ自分がこの先どうなるか把握できていない。米高裁が昨年12月6日に新法の合憲性を認定した後、社内には悲観論が広がり、レイオフが懸念されるようになった、と従業員の1人が明かした。
ただティックトックは新規の求人を続けており、困惑した求職者たちの一部は、従業員が匿名で自社の情報を自由に語るアプリ「ブラインド」を通じて相談を持ちかけている。ある利用者はブラインドに、カリフォルニア州サンノゼのバイトダンスから2月からの仕事を提示されたと投稿。これに対して、その提示を受けた上で他の面接で武器にすれば良いと助言する声もあった。
◎広告主の動き
イーマーケターによると、ティックトックの米国事業は2024年の広告収入が123億ドルに上る見込み。インスタグラムを運営するメタ・プラットフォームズと比べれば規模はずっと小さいが、ティックトックは根強い愛好者を抱えているので、一部ブランドは19日以降も広告を展開しようとするのではないかとの見方が出ている。
デジタル広告代理店コード3のクレイグ・アトキンソン最高経営責任者(CEO)は「アプリは更新されなくなるとしても、なお膨大な利用が想定される」と指摘。ティックトックの電子商取引機能「ティックトック・ショップ」は、広告主が乗り換えられる直接的な競合サービスが存在しない。コード3では昨年12月終盤時点でもティックトック・ショップに流す新規広告契約を顧客と締結したという。
ホライゾン・メディアのブランド安全担当執行副社長を務めるジェーソン・リー氏は、広告主の中には19日以降もとりあえずティックトック向け支出を続け、利用が減少すれば考え直すという向きがあるかもしれないとの見方を示した。
◎ティックトックの買い手候補
ティックトックはこれまで繰り返し、バイトダンスによる事業売却は不可能だと主張してきた。しかし米大リーグ(MLB)ドジャースの元オーナーで富豪のフランク・マッコート氏は、ティックトックの米国事業買収に向け、投資家連合から200億ドルを拠出してもらう約束を口頭で得たと明かす。
マッコート氏はまだバイトダンスと直接接触していないが、最高裁が新法の合憲性を承認するとみており、その後ならばバイトダンスも売却協議にもっと前向きに応じると期待している。
同氏らはトランプ次期政権のメンバーとも話し合いの場を持ち、買収後のCEO探しに乗り出している。計画している事業モデルによると、ティックトックのアプリはオープンソース技術に移行し、電子商取引と人工知能(AI)学習用データのライセンス供与を通じて収益を得るという。
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