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アングル:トランプ対中関税、米消費者を直撃 追加請求に戸惑い

ロイター / 2025年2月9日 7時30分

 2月5日、貿易関連企業幹部のマシュー・キャノンさんに、大学生の娘から配送会社DHLからの請求書が転送されてきた。写真は、DHLのトラック。2023年2月、ロンドンで撮影(2025年 ロイター/Peter Nicholls)

Lisa Baertlein Arriana McLymore

[ロサンゼルス/ニューヨーク 6日 ロイター] - 5日、貿易関連企業幹部のマシュー・キャノンさんに、大学生の娘から配送会社DHLからの請求書が転送されてきた。彼女がオーストラリアの若者向けファッション販売業者I.Am.Gia.に商品を注文したところ、関税と手数料、計45.19ドル(約6824円)の追加料金を請求された。これが詐欺かどうか知りたいというのだ。

娘はパーティーに備えて65ドルのトップスを注文し、速達便の手数料も加えて合計金額は84ドルのはずだった。

しかし、DHLのメッセージは追加料金の内訳として関税26.88ドル、取り扱い手数料17ドルなどと記し、荷物の到着日から5日以内に支払わないと商品は送り主に返送されると書かれていた。

トランプ米大統領が今週、中国からの輸入品に10%の追加関税を課したことで、中国直送のショッピングサイトである「SHEIN(シーイン)」や「Temu(テム)」で5ドルのシャツや10ドルのランプ、20ドルの靴を購入していた米消費者の負担が増えている。

トランプ氏はまた、合成麻薬「フェンタニル」やその前駆物質の流入を阻止するためとして、中国からの低価格の小包に対する関税免除措置「デミニミス・ルール」を突然廃止した。

デミニミスとは法的用語で重要性の低い事項を指し、外国から個人宛に発送される800ドル未満の品目について、標準的な関税手続きと関税を免除する制度。

米国の消費者は、この変更が実施される前に発送された商品も含め、中国に直接注文した低価格商品の関税を支払う必要が生じた。

キャノンさんは「これは彼女がぎりぎり買うことができる65ドルの商品だったのに、今では追加で50ドルを支払わなければ手に入らなくなった」と語る。

クリント・リードさんの元にも4日、DHLからメールが届いた。ドレス、セーター、ベビー服など16点、計197ドル分のシーインへの注文品で、5日以内に追加料金の39.07ドルを支払わなければ送り主に返送されるというのだ。

内訳は輸入関税20.76ドル、規制関係の手数料1.31ドル、関税処理手数料17ドルだった。

シーイン、テム、米アマゾン・ドット・コムの格安オンライン店舗「Haul」などは、低価格品の輸入免税措置に便乗する形で普及してきた。

しかし2月4日をもって、発送者または受取人は、米国への配送経路に関わらず800ドル以下の中国および香港発の製品全てに関税を支払う必要が生じた。

シーイン、テム、アマゾンにコメントを求めたが、すぐには回答が得られなかった。

民間の配送会社や米郵便公社(USPS)が配送する何百万個という電子商取引の荷物が、新たに輸入関税の対象となった。

テキストメッセージや電子メールで関税の請求書が届き始めた今、米国の消費者はトランプ氏の貿易・関税政策が自分たちの生活と懐に直接影響することに気づき始めている。

キャノンさんは、欧州やカナダなど免税限度額がはるかに低い市場の買い物客は、オンライン購入品に課税されることには慣れていると指摘。一方で、「米国では非常に高額の買い物をしない限り、だれもそのような経験をしたことがなく、想像もつかない。しかも通常、高額な買い物では小売業者が関税を負担する。これは悪夢だ」。

DHL・エクスプレスはロイターに対し、通関手続きには標準化された手数料と取扱手数料が適用されると説明した。これらの手数料は政府の税金や関税に加えて課されるものだ。世界最大の小包配達会社ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)も、関税の支払いを円滑に進めるためのシステムとプロセスを備えていると解説。同業のフェデックスからはすぐにコメントが得られなかった。

通関や物流、その他の貨物関連サービスを提供するフレックスポートの通関担当副社長、バーニー・ハート氏は、関税を「短期的に負担する」業者もいると話した。

I.Am.Gia.はウェブサイト上のメッセージで、米国の顧客は配送業者を通じて関税を支払うよう求められるようになるだろうと通知している。2月7日以降の注文については、関税は価格に含まれ、価格の「若干の」調整などにより一部相殺される。同社はコメント要請にすぐには応じなかった。

中国その他の国の工場から米国の消費者へ直接出荷も行っているファストファッションの小売業者、サイダーはウェブサイトに「通関手続きが長引くため」出荷が遅れる可能性があるとの通知を掲載した。広報担当者は、遅延に関するロイターの質問にすぐには回答しなかった。

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