ドル一時101.55円、原油急落で円暴騰
ロイター / 2020年3月9日 15時23分
[東京 9日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前週末ニューヨーク市場の午後5時時点から大幅安の102円半ば。新型コロナウイルスの感染拡大懸念に原油価格の急落が加わり、金融市場は一時混乱状況に陥り、パニック的な円高が発生した。
ドルは早朝から売りが先行。新型ウイルスの感染者急増で週末にニューヨーク州などが非常事態を宣言、イタリアがミラノを含む北部の大部分を事実上封鎖する措置に踏み切ったことなどもあり、ドルは前週末から気配値を切り下げた104円半ばで取引を開始。薄商いの下すぐ103円半ばまで下落した。
原油先物価格の暴落が追い打ちをかける。石油輸出国機構(OPEC)加盟国・非加盟国の連合体「OPECプラス」が6日に開いた閣僚会議で、追加減産と減産延長に関する提案をロシアが拒否。サウジアラビアが大幅増産計画を打ち出したことで、先物価格はアジア市場で30%急落した。
朝方からじり安だった原油先物が午前10時半頃から下げ足を早めると、ドル/円も平仄を合わせて下落。10時40分頃から下値のドル買い注文を次々にのみ込みつつ、11時過ぎに101.55円と16年11月9日以来、3年4カ月ぶり安値まで一気に売られた。
市場筋によると、今回の円暴騰は、気配値が急速に切り下がって少ない出来高の下で価格が大きく変動する「フラッシュ・クラッシュ」とは異なり、下落局面で激しく売買が交錯した。そのため「フラッシュ・クラッシュ後のように、すぐ下げ幅を埋めるような動きにはなりづらい」(トレーダー)との声が出ていた。
この日のドルは「今夜の米株式市場が大幅に下げることが見込まれ、買い戻しの勢いがつかなかった」(みずほ証券チーフFXストラテジストの鈴木健吾氏)ことで、戻りがないまま、下げ幅を拡大したという。
市場の目線は、心理的節目となる100円まで下がっている。「今日の米国株が再び大幅安となれば、(100円割れで)2桁のドル安も現実味を増す」(国内銀)との意見が聞かれた。
ドル/円
午後3時現在 102.57/59 1.1380/84 116.75/79
午前9時現在 103.92/94 1.1385/89 118.35/39
NY午後5時 105.30/33 1.1285/87 118.90/94
(為替マーケットチーム)
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