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アングル:米国で株の信用取引が復活、低金利や株価回復追い風

ロイター / 2020年6月9日 17時34分

6月9日、複数の銀行関係者によると、大手銀行のウェルスマネジメント部門で顧客による株式の信用取引が再び増加している。写真は米ドル紙幣。2016年11月撮影(2020年 ロイター/Dado Ruvic)

[ニューヨーク/香港 9日 ロイター] - 複数の銀行関係者によると、大手銀行のウェルスマネジメント部門で顧客による株式の信用取引が再び増加している。

3月の株価暴落で一部の投資家がやけどを負ったばかりだが、世界的な金融緩和で低金利が続いていることや、株式市場が3月の安値から急ピッチで回復していることが追い風になっているようだ。

米証券業界の自主規制機関である金融取引業規制機構(FINRA)のデータによると、個人・機関投資家が信用取引を行うために開設する米国の「マージン口座」の借入残高は4月時点で5250億ドルと、3月の4790億ドルから増加。今年初めの5620億ドルにはまだ届いていないが、「1カ月前に比べると状況は改善している」というのが、シティグループ のバンクキング・カストディー・エスクロー・マージン・証券担保融資担当・米州トップ、ムルトゥザ・ラシワラ氏の見方だ。

同氏によると「顧客が追加の資金を確保できず、ポートフォリオの清算を迫られるケースもあった」が、市場が急ピッチで回復したため「追加で資金を確保できた顧客はポートフォリオを維持できた」という。

ウェルズ・ファーゴ・ウェルス・アンド・インベストメント・マネジメントのコアバンキング部門トップ、アダム・ホルツシュー氏は「市場の混乱はロング、ショートを問わず、投資をしていた誰もにとって厳しいものだった」とした上で、顧客のレバレッジの利用は「控えめなもの」だったとの見方を示した。

一部の投資家は、市場の暴落を買いの好機と見たようだ。

米株式市場は3月の安値から急速に値を戻しており、8日のナスダック市場は終値で最高値を更新した。S&P総合500種指数も最高値まであと4.5%ほどに迫っている。

相対的にリスクが高いとされることが多い個別株の貸株も続いているようだ。クレディ・スイス のインターナショナル・ウェルス・マネジメント部門を統括するフィリップ・ベーレ氏は、個別株の貸株について、現在もオファーはあり、同部門が最近、以前から取引のある新興市場の顧客と大型契約を締結したことを明らかにしている。

<リスクの高さも浮き彫りに>

暴落後の市場に投資家の関心が再び集まっていることは、投資家向けの融資や取引手数料で稼げる金融機関にとっては好材料だが、新型コロナウイルスによる経済的な打撃が続く中で、市場のリスクがいかに高まっているのかも浮き彫りとなっている。

証券法専門の弁護士やプライベートバンカーによると、今年の株価下落時に、一部の投資家が信用取引で損失を出すと、複数の銀行が直ちに担保の現金化に動いた。

法律事務所ウォルパーのマット・ウォルパー氏は「多くの人は、長年の強気相場で自分がどれほどリスクを抱えていたのか、把握していなかった」と指摘する。

セキュリティーズ・アービトレーション・コメンテーターの創業者リック・ライダー氏は、先月の電子メールで、2-3月の市場の下落を受けて、顧客との紛争やFINRAでの仲裁手続きが急増すると予想。

FINRAのデータによると、顧客との紛争は2007-09年にも増加している。

とはいえ、信用取引向けの融資は銀行にとって収益性が高いビジネスであることに変わりはない。具体的な収益率は、銀行が内訳を公表しないケースが多く、把握が難しい。

ただ、市場が急落すれば、銀行が損失を被る可能性がある。事情に詳しい一部の証券法専門の弁護士や銀行関係者によると、今回の暴落時は、銀行がすぐさま担保を換金して損失を最小限に抑えた。

銀行関係者によると、マージン口座が再び増えていることを受けて、一部では信用取引で投資できる証券のタイプやレバレッジの倍率を制限する動きも出ている。

2000億ドル以上の顧客資産を運用する欧州のあるウェルスマネジメント会社のバンカーは「3月の市場の暴落は、ある意味で我々全員に警鐘を鳴らしてくれた」と語った。

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