アングル:立民・国民合流で代表選、野党が挑む自公新政権の厚い壁
ロイター / 2020年9月9日 11時26分
9月9日、立憲民主、国民民主両党が合流して結成する新党の代表選挙は、立憲民主の枝野幸男代表と国民民主の泉健太政調会長が立候補し、10日に両院議員による投開票が行われる。枝野代表の似顔絵入りクッション、枝野氏の事務所で2017年撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
宮崎亜巳 Linda Sieg
[東京 9日 ロイター] - 立憲民主、国民民主両党が合流して結成する新党の代表選挙は、立憲民主の枝野幸男代表と国民民主の泉健太政調会長が立候補し、10日に両院議員による投開票が行われる。
新党には149人の国会議員が参加し、新たなリーダーの下で野党第1党となる。
2012年に民主党が政権を失ってから約8年、野党はいくつかのグループに分裂し、勢力は分散されていった。今回ようやく1つのグループにまとまり、新たな首相の決断次第で来るべき衆議院選挙に臨むが、挑む与党の壁は厚い。
自民党は14日に総裁選挙を行い、事実上の次期総理大臣が選出される。野党新党は翌15日に結党大会を予定している。
新党代表選挙で優勢とみられている枝野立憲民主代表は4日、出馬表明の会見で、コロナ危機を受けた経済再生への具体的な対策として中間層への時限的な所得税減税、消費税の時限減税、困窮者への1人当たり月1万円の給付金制度化などを挙げた。
<野党合流で政権交代目指す>
立憲民主の安住淳・国会対策委員長は7日、ロイターのインタビューで野党合流の意味について「50人、60人の小さな政党がいくら政権交代だと言っても笑い話にしかならない」とし、「そういう意味では、大きな固まりを作ることは大変な意義がある。政権を交代する選挙をするチャレンジャーになれるということ」と語った。枝野代表も会見で「最大野党の役割は政権を目指すこと。総選挙があれば当然政権交代を目指す」と断言した。
新党に登録した149人のうち衆議院は106人で、民主党が11年前に政権交代を果たした衆議院選挙直前の115人に近い勢力となっている。
安住氏は、次期首相の下での総選挙は、争点がはっきりした与野党対決の選挙になるとみている。新党は、コロナ禍の経済対策としての所得税・消費税の減税、カジノ反対、原発ゼロを打ち出すことで与党との違いを鮮明にするという。
<自民支持率アップで早期解散も>
ただ、与党は安倍晋三首相の辞任表明から支持率が上昇しており、新政権は早期解散・総選挙に踏み切るとの見方も強まっている。読売新聞が9月4─6日に実施した世論調査では、自民党の支持率は41%で前回調査(8月7─9日、33%)から大幅に上昇、立憲民主党は4%(同5%)となっている。
上智大学国際教養学部教授(政治学)の中野晃一氏は、2016年と2019年の参議院選挙の結果分析から、次期衆院選挙の見通しとして、「野党が勝つとは言えないが、自民党に対し、現有議席を減らすのではないかという脅威を与えるには十分ではないか」と試算する。
一方、新党が今後も結束を保てるかどうかには懐疑的な見方もある。元民主党衆院議員で早稲田大学教授の中林美恵子氏は、「野党は、とてもまとまっているとは言い難い。彼らはまとまると言っているが、それは非常に、非常に疑わしい」と話している。
民主党の代表を2回、幹事長を3回務め、2017年の分裂では無所属グループとなった岡田克也衆院議員は新党結党に向けて声明を出した。その中で自らの経験から「一番苦労したのは党をまとめることだった」と振り返り、「多様性を大切にしつつ最終的には選んだリーダーを中心に組織としてしっかりとまとまっていくことの大切さを全員が肝に銘じるべき」としている。
(宮崎亜巳、Linda Sieg)
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