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ETF・REIT、政策の持続力高める工夫探るべき=日銀主な意見

ロイター / 2020年11月9日 11時41分

日銀が10月28―29日に開いた金融政策決定会合で、委員から上場株式投信(ETF)や不動産投信(JREIT)について、「政策の持続力を高める工夫の余地を探るべきだ」との意見が出ていたことがわかった。写真は東京にある日銀ビル。今年5月22日に撮影。(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 9日 ロイター] - 日銀が10月28―29日に開いた金融政策決定会合で、委員から上場株式投信(ETF)や不動産投信(JREIT)について、当面は積極的な買い入れを維持する必要があるが、金融緩和の長期化を見据え、「資産価格のプレミアムへの働きかけが真に必要なタイミングでの買い入れが困難にならないように、政策の持続力を高める工夫の余地を探るべきだ」との意見が出ていたことがわかった。日銀が9日、同会合で出された主な意見を公表した。

黒田東彦総裁は5日の参議院予算委員会で、ETFの買い入れを含む金融緩和は「必要な施策だ」と指摘。現時点でETF買い入れの見直しやETFの処分は考えていないと述べたが、決定会合では委員から制度修正の必要性に言及する意見が出ていた。

決定会合ではこのほか、企業による付加価値創出に向けた取り組みを支援するため、「成長投資資金が企業に流れる仕組みの整備を支援することが重要」との指摘も出ていた。ある委員は「感染症の抑制と経済活動の両立といったウィズ・コロナの視点から、2%の物価目標の実現に向けた政策対応について議論の整理をしていく必要がある」と述べた。

<一連のコロナ対応、「時期尚早な手じまい避けるべき」>

日銀は10月の決定会合で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)付き量的・質的金融緩和の現状維持を賛成多数で決めた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて3月以降に打ち出した政策も継続を決定した。[nL4N2HK1BZ]

会合では、3月以降の緩和措置は効果を発揮しており、「引き続き企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていくことが重要だ」との指摘が出ていた。先行きの経済・金融情勢には大きな不確実性があるとし、「引き続き(コロナ対応の)3つの柱のもとでの金融緩和を続けることが望ましい」との意見も出された。

ある委員は「金融市場急変の可能性に最大限の警戒で臨み、経済・物価への影響を踏まえて必要があれば、機動的な政策対応をすべき」と指摘。「感染症との戦いが長期化することも視野に入れ、政策の時期尚早な手じまいは避けるべきだ」と述べた。

市場安定と企業金融の支援に焦点を当てた現在の金融政策運営は効果を発揮しており、「時間はかかるが、経済活動の下支えを通じて、物価安定目標を実現することにつながっていく」との意見もあった。

<イールドカーブの緩やかなスティープ化「望ましい」>

YCCについて、ある委員は、10年金利がゼロ%程度を維持しつつ、「イールドカーブの超長期の部分が緩やかなペースでスティープ化することは、金融機関の運用収益の確保につながり、金融緩和の長期化と金融システム安定の両立からも望ましい」と発言した。

足元で無担保コール翌日物金利の上昇圧力がいくぶん高まっているとして、「他の中央銀行が緩和姿勢を強める中、日銀の緩和姿勢が後退しているといった誤ったメッセージとして市場に受け取られないよう、コミュニケーションには十分留意する必要がある」と指摘する委員もあった。

日銀は同会合で、四半期の1回の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を取りまとめた。[nL4N2HK1BK]

経済情勢について、「先行きの不確実性は依然として高く、当面は回復の動きを慎重に点検することが肝要」といった意見が出されたほか、「個人資産で株式よりも大きな割合を占める土地の価格が下落に転じたことが、消費者マインドに及ぼす影響が懸念される」との指摘も見られた。

物価については、ある委員が「消費者物価は当面、一時的な要因等から弱めの動きが続くものの、価格引き下げの動きが広がる状況にはないと考えられる」と述べた。一方、「雇用・所得の低迷、海外イベントによる金融市場の動揺等による物価と予想インフレ率の下振れリスクを警戒すべきだ」と指摘する委員もあった。

(和田崇彦 編集:山川薫)

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