想定より価格転嫁進む、積極的価格設定や賃上げ定着見極めたい=日銀総裁
ロイター / 2023年11月9日 14時40分
植田和男日銀総裁は9日の参議院財政金融委員会で、2%の物価目標を安定的に達成できるのか現時点では自信はないとしつつ、日銀の想定よりも価格転嫁が進んでおり企業の積極的な価格設定や賃上げの動きが定着するか見極めたいと述べた。資料写真、5月撮影(2023年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Yoshifumi Takemoto Takahiko Wada
[東京 9日 ロイター] - 植田和男日銀総裁は9日の参議院財政金融委員会で、2%の物価目標を安定的に達成できるのか現時点では自信はないとしつつ、日銀の想定よりも価格転嫁が進んでおり企業の積極的な価格設定や賃上げの動きが定着するか見極めたいと述べた。浅田均委員(維新)の質問。
植田総裁は、2%目標の実現判断にあたっては「賃金と物価の好循環が強まっていくことを確認することが重要」とし、「来年の春闘が重要な要素のひとつ」と指摘した。
同時に、足元では企業に従来より積極的な価格設定行動がみられるとして、「先行きも、企業の積極的な価格設定行動が広がり、賃上げの継続が定着するか見極めていきたい」と述べた。
<物価見通し修正、食品・原油価格上振れが理由>
日銀が10月の展望リポートで物価見通しを大幅に引き上げた理由については「7月と比べて食品価格などが上振れてして価格転嫁が想定より進んでおり、足元の原油価格も上昇しているため」と説明した。
2024年度の物価見通しの上方修正の幅が23年度より大きいのは、7月時点で今秋の終了を見込んでいたエネルギー補助金について、来春終了を前提としたためという。
<マイナス金利解除とYCC撤回、順序は経済・金融情勢次第>
物価目標の達成が視野に入った場合、マイナス金利解除と長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)撤回のどちらが先かとの質問に対しては、その時点での経済・金融情勢に依存するとの従来答弁を繰り返した。
浅田委員は、現行の金融緩和を引き締め方向に変更する判断基準として総裁は従来、家計や企業の物価見通しである期待インフレ率が2%になった時と説明していたが、今は賃上げを重視しており条件が変わった理由を質問した。これに対して植田総裁は「物価が2%上昇し、2%プラスアルファの賃上げが実現していれば期待インフレ率は2%に上昇している」と説明した。
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