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国債買い入れ、減額幅・ペースなどで多様な意見=債券市場会合資料

ロイター / 2024年7月9日 19時7分

 7月9日、日銀は債券市場参加者会合で示した説明資料を公表した。写真は昨年1月、日銀本店前で撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)

Takahiko Wada

[東京 9日 ロイター] - 日銀が9日、債券市場参加者会合で示した説明資料では、海外中銀のQT(量的引き締め)の例を踏まえると2―3兆円程度までの減額が望ましい、など様々な意見が示された。資料は債券市場参加者会合に先立ち、日銀が参加金融機関に国債買い入れの減額のあり方などについて行った調査をまとめたもの。減額幅やペースなどに関し、様々な意見が上がったが、どの意見が多数かなどは明らかにされていない。

<減額幅>

国債買い入れの減額幅については、国債買い入れが政策のツールでなくなったことを踏まえ「買い入れ額ゼロまでのパスを示すことが重要」といった意見のほか、大規模緩和の前に行っていた「成長通貨の供給のための国債買い入れ」に戻るべきだとして、「1―2兆円程度を目指すのが望ましい」といった意見も見られた。

投資家の保有余力などを踏まえると量的・質的金融緩和(QQE)導入前の「3兆円程度がいったんのめど」といった声や、銀行勘定の金利リスク規制を踏まえると4兆円程度までの減額が適当だとの意見も見られた。

いったん5兆円程度まで減額し「その後は国債需給などの状況を見ながら、さらなる減額を検討していくことで良いのではないか」との指摘もあった。

<減額のペース>

減額ペースについては、国債買い入れの減額という材料に出尽くし感がなく、買いが手控えられている現状を踏まえれば「段階的な減額は不要」との意見が出る半面、当初大きく減額した後に緩やかな段階的減額を行えば「減額への警戒感や金利先高観の形成を抑制し、投資家の債券投資需要を喚起しながら減額を進めることができるほか、市場機能の早期回復も期待できるのではないか」といった声もあった。

急激な減額は市場に不必要なボラティリティを発生させる可能性があり、金利リスクを抱えている地域金融機関などのリスク許容度を低下させ、国債消化の不安定化を招くリスクがあるとして「2年程度かけて段階的かつ予見可能な形で減額を行うべき」との意見も出された。

<買い入れ額のレンジ>

日銀の国債買い入れは現状、月間約5―7兆円のレンジで行われている。

買い入れ額のレンジについて、金融機関からは、柔軟性確保の観点から「買い入れ額は四半期ごとにレンジで示しつつ、減額幅はそのレンジの中央値を引き下げて示していくのが良い」といった回答や、予見可能性を高めるために「レンジの幅は狭めることが望ましい」との意見がみられたほか、レンジがあることで様々な局面で市場参加者の思惑が生じ「オペがイベント化する」として「レンジは不要」との声もあった。

残存期間別の買い入れ額については、現状のように四半期ごとに金融市場局で決定すれば良いとする意見と、残存期間別の内訳も「2年程度先まで買い入れ予定を示すべき」との意見が出された。

<残存期間別の買い入れ>

残存期間別の買い入れ減額についても、多様な意見が示された。

ボラティリティ抑制の観点から「短中期ゾーンを中心に減額を進めるべき」とする意見の半面で、日銀に代わる国債保有主体として銀行などの預金取扱金融機関を想定するなら「中長期ゾーンを中心に減額する方が需給バランスが崩れにくい」とする意見が見られた。発行額に対する日銀の買い入れ比率が高い10年以下のゾーンを優先して減額すべきとの声もあった。

超長期ゾーンについては相反する意見が示された。デュレーション短期化の観点から「優先して減額すべき」との回答があった半面で、需給の緩みから「減額の優先度は低い」との考えも示された。

現在の年限別買い入れ額は10年以下で厚く、10年超では薄くなっており、「アンバランス」でイールドカーブを歪めているとして「より市場中立的な買い方に見直していくべきだ」との指摘もあった。

このほか、既発債の流動性を回復するため、国債買い入れの減額を行う際には「併せて保有国債の売却もお願いしたい」との意見も出ていた。

日銀は9日、銀行や証券を対象に債券市場参加者会合を開催。10日午後にはバイサイドを対象に同会合を開く予定。

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