売り広がる英国債、PIMCOなどは保有維持 利下げ幅拡大に期待も
ロイター / 2025年1月10日 8時10分
パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)を含めた複数の有力債券投資家は、足元で売りが広がっている英国債の保有を続ける構えを見せている。写真は、ニューヨーク証券取引所のスクリーンに表示されるPIMCOの取引情報。2018年4月、ニューヨークで撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)
Harry Robertson Yoruk Bahceli
[ロンドン 9日 ロイター] - パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)を含めた複数の有力債券投資家は、足元で売りが広がっている英国債の保有を続ける構えを見せている。
英10年国債利回りは9日、一時4.925%と2008年以来の高水準に達し、過去3日間の上昇幅は30ベーシスポイント(bp)を超えた。
ただPIMCOは、英国債に対する前向きな見方を維持しており、最近の売りは強い米経済を反映した米国債利回りの急上昇に引きずられた面が大半だと説明した。
こうした投資家の間では、英国の借り入れコスト急騰で財政が圧迫され、リーブス財務相は歳出削減か増税を迫られるため、経済成長の足を引っ張り、結果的にイングランド銀行(BOE、英中央銀行)の利下げ幅が想定より大きくなって国債市場を落ち着かせるというシナリオも描かれている。
PIMCOのエコノミスト、ペダー・ベック・フリース氏は8日ロイターに「利回り上昇と成長減速という現在の流れが持続すれば、政府は新たな(財政均衡のための)ルールを守るために歳出削減ないし増税に動く可能性が高まる」と指摘した。
ロイヤル・ロンドン・アセット・マネジメントの金利・キャッシュ責任者を務めるクレイグ・インチズ氏は、英国の債務持続性が懸念され、増税か歳出削減を実施しても、それが経済成長の下押し圧力を通じて借り入れコストが高い局面での歳入減をもたらすと話す。
それでもインチズ氏は、上昇した利回り水準には大きな値ごろ感があるので、英国債を買い増していると付け加えた。
BOEが今後行う利下げは、市場が予想しているよりも大幅になる公算が大きいとの声も出ている。現時点で短期金融市場は、今年中に2回の25bp利下げがある可能性でさえ100%は織り込んでいない。
アリアンツ・グローバル・インベスターズのシニア・ポートフォリオマネジャー、ランジブ・マン氏は「政府による財政運営の変化は今年の英経済にとってさらなる成長下振れリスクを提示するようになる。われわれは、市場が今織り込んでいるよりもBOEがよりハト派的になると想定し始めると考えている」と述べた。
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