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訂正物価の基調上昇なら、緩和度縮小「考えないといけない」=日銀総裁

ロイター / 2024年4月9日 16時33分

日銀の植田和男総裁は9日、参院財政金融委員会で、今後、基調的な物価上昇率が日銀の見通し通りに少しずつ上がっていけば「緩和の度合いの縮小を考えていかないといけない」と述べた。写真は会見する植田総裁。日銀本店で3月撮影。(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon/File Photo)

(本文13段落目の保有国債の「平均残存金利」を「平均残存期間」に訂正しました)

Kentaro Sugiyama Yoshifumi Takemoto

[東京 9日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は9日、参院財政金融委員会で、今後、基調的な物価上昇率が日銀の見通し通りに少しずつ上がっていけば「緩和の度合いの縮小を考えていかないといけない」と述べた。ただ、実際にそうなるかは今後の「データ次第」で、毎回の金融政策決定会合で経済・物価情勢の推移を丁寧に点検していくとした。現時点で、先行きどういうタイミングでどのように短期金利を動かしていくか「予断は持っていない」と語った。

「通貨および金融の調節に関する報告書」(半期報告)の概要を説明し、各委員からの質問に答えた。

半期報告では、消費者物価の基調的な上昇率が見通し期間の終盤にかけて物価2%目標に向けて徐々に高まっていくとした。植田総裁は質疑で、現時点では基調的な物価上昇率は「まだ少し2%を下回っている」と述べ、緩和的な金融環境を維持していくことが大切だと指摘した。

3月の政策変更後も実質金利は大幅にマイナスで推移するとし、「こうした緩和的な金融環境が中小企業の経営環境を含め、経済・物価をしっかりと支える」との見方を示した。

植田総裁は、今後、春闘の結果を踏まえて賃金が現実に上昇することが確認されていくのか、上がっていく賃金がサービス価格に反映されていくのかを確認していくと述べた。その一方で、インフレ率が日銀の見通し対比で「大幅に下振れるリスクはだいぶ低くなってきている」とも指摘した。

中小企業の賃上げは「業種や個別企業によって厳しいところがある」との認識を示しつつ「今後ある程度広がると総合的に判断している」と説明した。

現在の経済見通しが前提だと当面短期金利は0─0.1%が適当とも述べた。

<国債買い入れ減額の時期、「確定的なこと言えず」>

日銀は3月の金融政策決定会合で、マイナス金利の解除など大規模緩和政策の修正を決定。日銀当座預金の3層構造をやめ、超過準備にプラス0.1%の付利を実施することにした。

植田総裁は当預への付利について「金融機関への補助金を作り出す目的ではなく、短期市場で政策金利の誘導目標を実現するために行うものだ」と説明した。マイナス金利解除に伴う金融機関経営への影響は「総じて限定的」と述べた。

日銀が保有する国債の残高は、当面おおむね横ばいで推移すると指摘。その先は減らしていくことを展望しているが、「具体的にどのタイミングでどれくらいということは、現時点ではまだ確定的なことは申し上げられない」と語った。

上場投資信託(ETF)については、すぐに処分することは考えていないとし、「処分するのかしないのか、処分する場合にどういうやり方をとるのか少し時間をかけて検討したい」と述べた。

追加利上げに伴う付利引き上げで日銀の支払い額が受け取り利息を上回り、日銀の財務が「一時的に悪化しても、政策運営に影響はない」とも説明した。

保有国債の平均残存期間(訂正)について「特別このあたりを狙っていく目標はない」とも指摘した。

<円安、経済・物価に「無視できない影響なら政策対応」>

外為市場では円安が進行している。植田総裁は為替の動きや水準について具体的なコメントは控えるとしたが、ファンダメンタルズに沿って安定的に推移することが重要だとの認識を示した。「金融政策は為替レートをコントロールするために運営するものではない」と話し、一般論とした上で「為替レートの動きが経済・物価情勢に無視できない影響を与える事態に至れば、金融政策の対応をもちろん考える可能性が出てくる」と述べた。

総裁は日銀が量的緩和を進めてきたなかで継続してきた「マネタリーベースの拡大方針は止めている」とも指摘した。物価が2%を一定程度上回るまで金融緩和を継続する「オーバーシュート型コミットメントは停止した」と説明した。

(和田崇彦、杉山健太郎、竹本能文編集:田中志保)

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