アングル:ウーバーとリフト、黒字化目指す配車大手が真逆の戦略
ロイター / 2020年2月11日 8時10分
2月7日、米国を代表する配車サービス企業のウーバー・テクノロジーズとリフトは、ともに黒字化を目指すが、その路線は違いが鮮明だ。写真は2019年5月、ニューヨーク証券取引所で撮影(2020年 ロイター/Andrew Kelly)
Tina Bellon
[ニューヨーク 7日 ロイター] - 米国を代表する配車サービス企業のウーバー・テクノロジーズ
ウーバーは6日、今年第4・四半期に会社全体の黒字化が実現できる見通しだと表明。従来目標より1年早いことから、7日の株価は9%も跳ね上がった。ただこの黒字化は、株式報酬費用などを除外したベースで、2020年通期ではまだ10億ドルを超える赤字になるとしている。
ともにサンフランシスコを拠点とするウーバーとリフトだが、共通点は乏しい。ウーバーの方がずっと規模が大きく、19年1─9月の収入は38億ドル対9億5600万ドル。約690億ドルに上るウーバーの時価総額はリフトの5倍で、ゼネラル・モーターズ(GM)
ウーバーはロンドンやドイツで規制当局とぶつかり、一部のアジア市場でも苦戦を強いられてはいるが、世界中の市場で事業を展開する。
対するリフトは北米市場に注力。昨年10月、単一の定額利用料金を導入していち早く金払いの良いリピート客のつなぎとめに動いた。一方ウーバーは今月6日、ようやく配車や料理の出前などのロイヤリティー・プログラム(頻繁に使ってくれる人への優遇サービス)を統一化する方針を打ち出した。
ウーバーの場合、全収入のおよそ75%を生み出している配車事業は現時点で黒字を確保しており、足を引っ張っているのは過去5年間に立ち上げた他の事業だ。同社は料理の出前サービスのウーバー・イーツだけでなく、自動運転車やドローンを使った空飛ぶタクシーなどの開発まで手掛けている。いずれも赤字で、ウーバー・イーツは19年後半に調整後EBITDA(利払い・税・償却前損益)が7億7700万ドルの赤字を記録した。
<アナリストの軍配分かれる>
主要アナリストの間では、引き続きウーバーのほうが人気だ。同社の規模や配車サービスの黒字基調、どこかの地域の事業が下向く、あるいは規制面で逆風に見舞われても持ちこたえられるといった点から、長期投資をする上でより安全だ、とCFRAのアナリスト、アンジェロ・ジノ氏は指摘する。
それでも一部のアナリストは、リフトに投資する方が危険は少ないと主張する。キャセンド・セキュリティーズのアナリスト、エリック・ロス氏は「われわれはリフトを好む。なぜなら世界最大の配車市場である北米で、最ももうかる事業に専念しているからだ」と述べた。
リフトは昨年10月に、21年末までに調整後EBITDAが黒字になると投資家に説明した。第4・四半期決算の発表時にこの目標が修正されることはないとみられている。
シノバス・トラストのポートフォリオマネジャー、ダン・モーガン氏は、ウーバーはアプリを通じて顧客とつながることに全力を注ぐべきで、自動運転車や空飛ぶタクシーの自前での技術開発をやめるべきだと指摘。「ウーバーのように多額の資金を失うのなら、その事業は競争力を持つ他の企業に委ねて市場を去るのが合理的だ」と話した。
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