米経済は良好、金利は当面現行水準=フィラデルフィア連銀総裁
ロイター / 2020年2月11日 7時59分
[ニューヨーク 10日 ロイター] - 米フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は10日、米経済は良好な状態にあるとし、連邦準備理事会(FRB)が当面は金利を現行水準に据え置く必要があるとの考えを示した。
ハーカー総裁はデラウェア州ニューアークで行った講演で、米経済成長率は今年は2%に達し、米国の失業率は向こう数年間は4%を下回る状況が続くとの見通しを表明。インフレ率はFRBが目標とする2%に達する軌道に乗っているとの見方を示し、「FRBは何らかの措置を取る前に状況のほか経済指標を見極め、当面は金利を据え置くべきだと現時点では考えている」と述べた。
FRBは1月28─29日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.50─1.75%に据え置くことを全会一致で決定。昨年に実施した3回の利下げを受け、金利水準には適切な水準にあるとの見方を示し、景気見通しが大幅に変化しない限り、金利は現行水準にとどまる公算が大きいとの見解を示した。
ハーカー総裁は昨年、投票権を持つFOMCメンバーになった。昨年の7月、9月、10月の利下げのうち、最後の2回は支持しなかった。
この日の講演では、住宅ローン金利が低水準にあることで住宅ローンの借り換えが促進され、消費支出が押し上げられる可能性があると指摘。ただ、通商問題のほか、世界経済の行方や地政学的な緊張の高まりを巡る先行き不透明感を背景に企業は投資と採用になお消極的になっているとし、景気の足かせとなり得るリスクは解消していないとの考えを示した。
また、新型コロナウイルスの感染拡大も経済成長に悪影響を及ぼす恐れがあると警告。「感染拡大で世界経済にどのような影響が及ぶかはまだ分からないが、中国経済、および国際的な旅客動向に対するマイナスの影響は注視する必要がある」と述べた。
ハーカー総裁はデラウェア大学で行われたパネル討論で、FRBは新型ウイルスの拡大感染の影響を注視していると表明。ただ、25ベーシスポイント(bp)の利下げを行うFRBの主要な政策措置が感染拡大で供給網が阻害を受けた企業に対する大きな支援になる公算は小さいとし、現時点で当局者ができることは少ないとの認識を示した。
その上で「状況が大幅に悪化し、米経済に対する大きな影響が出始めた場合、FRBは緩和を検討する必要がある」と指摘。「ただ現在はまだそうした時点には達していない」と述べた。
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