情報BOX:FOMC最新経済見通しの注目ポイント
ロイター / 2020年6月10日 12時49分
米連邦準備理事会(FRB)は9─10日の連邦公開市場委員会(FOMC)終了後、新型コロナウイルスのパンデミック(大流行)に伴い2月にリセッション(景気後退)入りして以降で初めての経済見通しを公表する。写真は米首都ワシントンのFRB本部。2019年3月撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)
[サンフランシスコ 9日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は9─10日の連邦公開市場委員会(FOMC)終了後、新型コロナウイルスのパンデミック(大流行)に伴い2月にリセッション(景気後退)入りして以降で初めての経済見通しを公表する。今年の生産が劇的に落ち込み、あと数年は事実上のゼロ金利が続くと示唆しそうだ。
また、景気回復のスピードや、パンデミックとその対策で実施されたロックダウン(都市封鎖)が経済に及ぼす長期的な打撃に関する各FOMCメンバーの想定も見えてくるだろう。
今回の見通しの注目ポイントは以下の通り。
<1回飛ばし>
FRBは通常3月、6月、9月、12月と、3カ月ごとにFOMCの17人のメンバーによる経済成長、失業率、物価上昇率、政策金利の数年にわたる見通しを公表するが、今年3月は公表が見送られた。新型コロナの感染拡大とロックダウン、それによる経済の動きを巡る不確実性があまりに大きかったためだ。
今も不確実性は相当残っているものの、1つはっきりしているのは、10日に公表される見通しは、総じて明るかった昨年12月分に比べてずっと悪い内容になるということだ。
<金利予想分布>
見通しの最重要部分は、「ドットチャート」と呼ばれる各メンバーの数年間の金利予想の分布だ。個々のFOMCメンバーの金利観を集合したものには、今後の政策金利パスについての緩やかな約束という機能を備えていることもあり、今はそれに当てはまる。FRBは、景気回復が十分に定着するまで、政策金利をゼロ近辺に維持するとのシグナルを送り続けている。
ドットチャートは、大半のメンバーが2022年いっぱい利上げなしと見込んでいることを示す公算が大きいので、FRBの政策金利ガイダンスをやんわりと補強する材料とみなされる、とJPモルガンのチーフ米国エコノミスト、マイケル・フェロリ氏は話す。
<景気回復の度合い>
今回の見通しから、FOMCメンバーが期待する景気回復の速度も分かるだろう。
オックスフォード・エコノミクスのKathy Bostjancic氏は「FRBは年後半の力強い回復を予想しそうだが、国内総生産(GDP)の水準は来年終盤までコロナ前を大幅に下回り続ける」と記した。この見方には多くのエコノミストが同意している。
5月は予想に反して13.3%に下がった失業率は、年末でも2桁、来年になっても趨勢的な水準よりずっと高いと想定されるかもしれない。Bostjancic氏らによると、物価上昇率は見通し期間を通じて、目標の2%を下回ると予想されそうだ。
大事なのは、こうした見通しは各メンバーが最も蓋然性が高い経済シナリオを前提としている点で、感染第2波は総じて織り込まれていない。
一方、新型コロナによる死者は多くの州で増加が続いており、公衆衛生当局者は5月末のメモリアルデーで発生した混雑や人種差別抗議デモなどにより、感染がさらに広がった可能性があると警告している。
Bostjancic氏は「われわれだけでなく、恐らくFRBの見通しにも下振れリスクがある」と話した。
<永続的ダメージ>
パンデミックが米経済に永続的なダメージを与えている、とFRBが考えているかどうかの手掛かりも今回の見通しで得られるだろう。ノムラのエコノミスト、ルイス・アレクサンダー氏は趨勢的な成長率が年間約1.9%で長期失業率は4.1%というFRBの推計にほとんど変化はないとみているものの、場合によっては両方とも悪化しかねないと語った。
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